1999年から2002年までの日本におけるヒトエキノコックス症サーベイランスの集計と評価 感染症発生動向調査から

ヒトエキノコックス症は, 1999年4月から施行された感染症法に基づく四類感染症, 感染症発生動向調査全数報告疾患に規定され, 国内患者サーベイランス (感染症サーベイランス) が実施されている.1999年4月から2002年12月までの感染症サーベイランスの結果から, 単包虫症が3例 (27~81歳, 中央値55歳), 多包虫症51例 (15~86歳, 中央値64歳) が報告されている.多包虫症については, 年齢が上昇するにつれて報告数も増加し, 71歳以上の報告が最も多かった.3例の単包虫症は全て本州からの報告で推定海外感染例として報告された.全報告症例のうち症状を伴っているとされた症例は1...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 79; no. 3; pp. 181 - 190
Main Authors 岡部, 信彦, 鈴木, 里和, 新井, 智, 多屋, 馨子, 谷口, 清州, 大山, 卓昭, 小坂, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.03.2005
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.79.181

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Summary:ヒトエキノコックス症は, 1999年4月から施行された感染症法に基づく四類感染症, 感染症発生動向調査全数報告疾患に規定され, 国内患者サーベイランス (感染症サーベイランス) が実施されている.1999年4月から2002年12月までの感染症サーベイランスの結果から, 単包虫症が3例 (27~81歳, 中央値55歳), 多包虫症51例 (15~86歳, 中央値64歳) が報告されている.多包虫症については, 年齢が上昇するにつれて報告数も増加し, 71歳以上の報告が最も多かった.3例の単包虫症は全て本州からの報告で推定海外感染例として報告された.全報告症例のうち症状を伴っているとされた症例は17例であった.感染経路が明らかであった症例は認められなかった.多包虫症は, 51症例中50例までが北海道の保健所からの報告であった.北海道を6地区に分類し症例を地域ごとに集計したところ, 報告数は石狩・胆振・後志地区 (20例), 根室・網走・釧路地区 (15例) が多かったが, 住民人口10万人あたりの報告数とすると, 根室・網走・釧路地区 (2.13/10万人) についで, 宗谷・留萌地区 (2.05/10万人) の順であった.これらの結果は, 数年以上前の感染発生状況を示しており, 1999年4月から2002年12月までのサーベイランス実施時期の感染発生状況は不明であった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.79.181