鼻副鼻腔腫瘍の内視鏡下手術

内視鏡下に根治切除を行った鼻副鼻腔良性腫瘍23例, 悪性腫瘍4例について検討を加えた. 内視鏡下良性腫瘍切除の適応は鼻腔, 上顎洞内側壁, 篩骨洞, 蝶形骨洞前壁に存在し, 前頭洞, 上顎洞前壁, 蝶形骨洞, 眼窩, 翼口蓋窩へ腫瘍が大きく進展していない症例とした. 悪性腫瘍切除の適応は鼻腔, 鼻腔に面した副鼻腔壁に存在し, en bloc切除可能な小腫瘍で, 組織学的に低悪性度の症例とした. 良性腫瘍の組織型は内反性乳頭腫10例, 血管腫9例, 若年性血管線維腫2例, 多形腺腫1例, 線維腫1例であり, 悪性腫瘍では嗅神経芽細胞腫, 腺房細胞癌, 扁平上皮癌, 軟骨様脊索腫であった. 再発性...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 108; no. 7; pp. 724 - 733
Main Authors 桜井, 弘徳, 星, 参, 北西, 剛, 有方, 雅彦, 清水, 猛史, 戸嶋, 一郎, 鈴木, 幹男, 田中, 寛, 小河, 孝夫, 瀬野, 悟史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.07.2005
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.108.724

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Summary:内視鏡下に根治切除を行った鼻副鼻腔良性腫瘍23例, 悪性腫瘍4例について検討を加えた. 内視鏡下良性腫瘍切除の適応は鼻腔, 上顎洞内側壁, 篩骨洞, 蝶形骨洞前壁に存在し, 前頭洞, 上顎洞前壁, 蝶形骨洞, 眼窩, 翼口蓋窩へ腫瘍が大きく進展していない症例とした. 悪性腫瘍切除の適応は鼻腔, 鼻腔に面した副鼻腔壁に存在し, en bloc切除可能な小腫瘍で, 組織学的に低悪性度の症例とした. 良性腫瘍の組織型は内反性乳頭腫10例, 血管腫9例, 若年性血管線維腫2例, 多形腺腫1例, 線維腫1例であり, 悪性腫瘍では嗅神経芽細胞腫, 腺房細胞癌, 扁平上皮癌, 軟骨様脊索腫であった. 再発性内反性乳頭腫2例, 軟骨様脊索腫1例を除き, en bloc切除が可能であった. 良性腫瘍では術後平均観察期間は21ヵ月で再発例はなかった. 悪性腫瘍では軟骨様脊索腫症例で術後早期に再発した. 内視鏡下にサルベージ手術を行い, 術後陽子線治療を行った. サルベージ手術後3年5ヵ月間再発を認めない. 術前塞栓術, 内視鏡下蝶口蓋動脈結紮術, レーザーを中心とした焼灼機器を使用することにより良性, 悪性腫瘍とも出血量は少なく外切開へ移行した症例はなかった. 以上より良性腫瘍では分割切除であっても出血をコントロールし十分な切除を行えば外切開と同等の治癒が期待できる. しかし, 悪性腫瘍ではいまだ十分な報告がなく, en bloc切除が可能な症例に内視鏡下切除を行い. 必要に応じて術後治療を追加するのが肝要と考えた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.108.724