第三世代型バイオセンサの開発研究

電気化学バイオセンサは,生物認識素子と信号変換器である電極を利用することで,対象物質との化学的相互作用を検出する装置であり,酵素を用いたアンペロメトリック電気化学センサが汎用されている.その中でも,第三世代型バイオセンサは,直接電子移動(Direct Electron Transfer; DET)型酵素と電極のみで構成されるシンプルで理想的なシステムである.本システムは,従来技術では必要なメディエータを要求しないため,安価,低副反応リスク,高い生体適合性などの利点を有している.そのため,「いつでも」・「どこでも」・「誰でも」使用できるバイオセンサ技術を実現することが可能となり,サイバー空間とフ...

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Published in分析化学 Vol. 72; no. 12; pp. 483 - 491
Main Authors 足立, 大宜, 宋和, 慶盛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.12.2023
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.72.483

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Summary:電気化学バイオセンサは,生物認識素子と信号変換器である電極を利用することで,対象物質との化学的相互作用を検出する装置であり,酵素を用いたアンペロメトリック電気化学センサが汎用されている.その中でも,第三世代型バイオセンサは,直接電子移動(Direct Electron Transfer; DET)型酵素と電極のみで構成されるシンプルで理想的なシステムである.本システムは,従来技術では必要なメディエータを要求しないため,安価,低副反応リスク,高い生体適合性などの利点を有している.そのため,「いつでも」・「どこでも」・「誰でも」使用できるバイオセンサ技術を実現することが可能となり,サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した未来社会「Society 5.0」において,革新的技術として期待されている.本稿では,DET型酵素及び第三世代型バイオセンサの開発研究事例を紹介し,特徴的な要素技術や今後の展望などについても記載する.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.72.483