腹式呼吸が健常者の気分,脳活動,心臓自律神経活動へ与える急性効果 慢性疼痛緩和のための予備的研究

【目的】 腹式呼吸が健常者の気分,脳活動および心臓自律神経活動へ与える急性効果を明らかにすること。【方法】 健常成人10名を対象とし,7分間の腹式呼吸の前後で気分プロフィールを調査するとともに,脳波,前頭葉のヘモグロビン濃度,心拍変動を実験中連続的にモニターした。【結果】 気分プロフィール検査の混乱-当惑,抑うつ-落ち込み,疲労-無気力,緊張-不安,およびTotal Mood Disturbanceの各尺度の得点は腹式呼吸後に有意に減少した。θ波は腹式呼吸の前半(0~3.5分)に減少し,α波は腹式呼吸の後半(3.5~7分)に増加した。酸素化ヘモグロビン濃度,心臓自律神経活動指標,心電図RR間隔...

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Published in理学療法やまぐち Vol. 2; no. 1; pp. 17 - 23
Main Authors 松浦, 和文, 加藤, 祥一, 山崎, 文夫, 山出, 宏一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 山口県理学療法士会 15.03.2024
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ISSN2758-3945
DOI10.57465/ptyamaguchi.2.1_17

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Summary:【目的】 腹式呼吸が健常者の気分,脳活動および心臓自律神経活動へ与える急性効果を明らかにすること。【方法】 健常成人10名を対象とし,7分間の腹式呼吸の前後で気分プロフィールを調査するとともに,脳波,前頭葉のヘモグロビン濃度,心拍変動を実験中連続的にモニターした。【結果】 気分プロフィール検査の混乱-当惑,抑うつ-落ち込み,疲労-無気力,緊張-不安,およびTotal Mood Disturbanceの各尺度の得点は腹式呼吸後に有意に減少した。θ波は腹式呼吸の前半(0~3.5分)に減少し,α波は腹式呼吸の後半(3.5~7分)に増加した。酸素化ヘモグロビン濃度,心臓自律神経活動指標,心電図RR間隔は腹式呼吸により有意な変化を認めなかった。【結論】 緩徐な腹式呼吸は,健常者の脳血流動態と心臓自律神経活動を有意に変化させることなく,脳波のα波を増加させて精神的にリラクセーションさせることが示された。
ISSN:2758-3945
DOI:10.57465/ptyamaguchi.2.1_17