アルツハイマー型痴呆に関する患者対照研究

アルツハイマー型痴呆の危険要因を探る目的で, 学歴, 職歴, 健康習慣, 食習慣, 趣味, ライフイベント, 既往歴, 家族歴などの多数の要因とアルツハイマー型痴呆の関係について, 患者対照研究をおこなった. 調査対象は, 臨床的にアルツハイマー型痴呆と診断された患者群31名 (男性11名, 女性20名, 平均年齢75.8±7.4歳), 病院対照群32名 (男性16名, 女性16名, 平均年齢75.4±6.9歳), 地域対照群373名 (男性183名, 女性190名, 平均年齢74.1±6.6歳) で, 全対象者について, その近親者に質問表にもどづく面接をおこない情報を収集した. 各要因相互...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 27; no. 6; pp. 693 - 698
Main Authors 江藤, 文夫, 溝口, 環, 折茂, 肇, 飯島, 節, 新野, 直明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.11.1990
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.27.693

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Summary:アルツハイマー型痴呆の危険要因を探る目的で, 学歴, 職歴, 健康習慣, 食習慣, 趣味, ライフイベント, 既往歴, 家族歴などの多数の要因とアルツハイマー型痴呆の関係について, 患者対照研究をおこなった. 調査対象は, 臨床的にアルツハイマー型痴呆と診断された患者群31名 (男性11名, 女性20名, 平均年齢75.8±7.4歳), 病院対照群32名 (男性16名, 女性16名, 平均年齢75.4±6.9歳), 地域対照群373名 (男性183名, 女性190名, 平均年齢74.1±6.6歳) で, 全対象者について, その近親者に質問表にもどづく面接をおこない情報を収集した. 各要因相互の影響を考慮した結果, 病院対照群を対照とした場合と地域対照群を対照とした場合の両方においてアルツハイマー型痴呆と有意な関連がみられた要因は,「糖分をひかえる」であり, その習慣がない場合に痴呆が多い傾向が認められた. 他の要因については, 2つの患者対照研究の両方で有意なオッズ比を示すものはなく, 今回の調査では, アルツハイマー型痴呆との関連は確認できなかった.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.27.693