ハイリスク高齢者におけるアテローム血栓性脳梗塞およびラクナ梗塞と頸動脈超音波所見との関連 断面調査による検討
【目的】頸動脈超音波検査で得られる指標が脳梗塞の発症予測因子となる報告は多い. 今回我々は断面調査にて生活習慣病を有するハイリスク高齢者におけるアテローム血栓性脳梗塞およびラクナ梗塞と頸動脈超音波所見との関連性を検討した.【方法】対象は高血圧症, 糖尿病および高脂血症のいずれかで加療され頸動脈超音波検査を受けた65歳以上の男女314例である. 対照群, アテローム血栓性脳梗塞群およびラクナ梗塞群の3群に分類し背景因子 (生化学検査, Body Mass Index, 血圧, 喫煙歴, 高血圧症, 糖尿病, スタチン服用) および頸動脈超音波指標の内膜中膜複合体厚 (intima-media t...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 42; no. 6; pp. 684 - 690 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.11.2005
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.42.684 |
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Summary: | 【目的】頸動脈超音波検査で得られる指標が脳梗塞の発症予測因子となる報告は多い. 今回我々は断面調査にて生活習慣病を有するハイリスク高齢者におけるアテローム血栓性脳梗塞およびラクナ梗塞と頸動脈超音波所見との関連性を検討した.【方法】対象は高血圧症, 糖尿病および高脂血症のいずれかで加療され頸動脈超音波検査を受けた65歳以上の男女314例である. 対照群, アテローム血栓性脳梗塞群およびラクナ梗塞群の3群に分類し背景因子 (生化学検査, Body Mass Index, 血圧, 喫煙歴, 高血圧症, 糖尿病, スタチン服用) および頸動脈超音波指標の内膜中膜複合体厚 (intima-media thickness) 最大値 (Max-IMT), プラークスコア (PLQ-S), pulsatility index 最大値 (Max-PI) の差を検討した.【結果】アテローム血栓性脳梗塞の頸動脈超音波指標では対照群に比しPLQ-Sおよび Max-PI は有意に高値, PLQ-S 10mm以上および Max-PI 2.0以上の頻度は有意に高率であったが, Max-IMT は差が無かった. ラクナ梗塞群のこれらの指標はいずれも対照群と差が無かった. 多重ロジスティック回帰分析ではアテローム血栓性脳梗塞とPLQ-S 10mm以上 (オッズ比2.980; P=0.011) およびMax-PI 2.0以上 (オッズ比2.458; P=0.038) が有意な相関を示した. ラクナ梗塞とは有意の相関を認めた指標は無かった.【結論】ハイリスク高齢者の頸動脈超音波所見において, PLQ-SとPIはアテローム血栓性脳梗塞と有意の関連性を示した. しかし, IMTとアテローム血栓性脳梗塞およびこれらいずれの頸動脈超音波指標とラクナ梗塞との間には有意の関連性を認めなかった. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.42.684 |