無症候性脳梗塞発現における本態性高血圧症の臨床的意義

無症候性脳梗塞発現における高血圧症の意義を明らかにするため, 脳卒中発作の既往のない高血圧患者 (WHO I~II期) 66例と, 年齢を一致させた正常血圧患者42例にMRI (0.1T) を施行して, 脳梗塞合併率, 病変の分布, 個数, 大きさを評価し, 同時に合併する脳卒中危険因子についても検索した. また, 高血圧例では東大3内科判定基準により臓器障害度を評価した. 高血圧群における無症候性脳梗塞合併率は47%と正常血圧群に比し高値を示し, 加齢により有意に増加した. また, 高血圧群では, 臓器障害度が強い程, 梗塞合併率は有意に高かった. 無症候性病変のほとんどは基底核, 白質の小...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 28; no. 6; pp. 741 - 747
Main Authors 奥, 直彦, 寳學, 英隆, 半田, 伸夫, 松本, 昌泰, 木村, 和文, 北川, 一夫, 鎌田, 武信, 伊藤, 泰司, 前田, 宏明, 原田, 貢士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.11.1991
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.28.741

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Summary:無症候性脳梗塞発現における高血圧症の意義を明らかにするため, 脳卒中発作の既往のない高血圧患者 (WHO I~II期) 66例と, 年齢を一致させた正常血圧患者42例にMRI (0.1T) を施行して, 脳梗塞合併率, 病変の分布, 個数, 大きさを評価し, 同時に合併する脳卒中危険因子についても検索した. また, 高血圧例では東大3内科判定基準により臓器障害度を評価した. 高血圧群における無症候性脳梗塞合併率は47%と正常血圧群に比し高値を示し, 加齢により有意に増加した. また, 高血圧群では, 臓器障害度が強い程, 梗塞合併率は有意に高かった. 無症候性病変のほとんどは基底核, 白質の小梗塞として認めたが, 高血圧群においては合併梗塞個数が正常血圧群に比し有意に多く, その病変分布の主体は高血圧性血管壊死の好発する穿通枝系領域であった. 以上, 高血圧症が無症候性脳梗塞, なかでも穿通枝領域の梗塞の発現に深く関わることが示唆された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.28.741