倉敷市における麻疹と風疹の入園入学時調査, 勧奨と接種証明書の効果について 接種率向上をめざして

麻疹と風疹ワクチンに対する新しい接種の動機づけとして, 倉敷市内幼稚園や小中学校の入園入学時に既往歴と接種歴を調査し, 感受性者にはワクチン接種の勧奨だけでなく, 接種証明書の提出を求めた. 参加は65/68幼稚園, 55/55小学校, 24/24中学校で, 調査対象数は11,365名であった. 麻疹の感受性者と不明の率は, それぞれ幼稚園5.6%, 2.0%, 小学校4.6%, 4.4%, 中学校3.0%, 8.3%であった. 一方, 風疹の感受性者と不明の率は, それぞれ幼稚園14.0%, 2.3%, 小学校21.8%, 5.4%, 中学校35.2%, 11.7%であった. 感受性者のうち...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 77; no. 9; pp. 667 - 672
Main Authors 寺田, 喜平, 新妻, 隆広, 荻田, 聡子, 片岡, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.09.2003
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.77.667

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Summary:麻疹と風疹ワクチンに対する新しい接種の動機づけとして, 倉敷市内幼稚園や小中学校の入園入学時に既往歴と接種歴を調査し, 感受性者にはワクチン接種の勧奨だけでなく, 接種証明書の提出を求めた. 参加は65/68幼稚園, 55/55小学校, 24/24中学校で, 調査対象数は11,365名であった. 麻疹の感受性者と不明の率は, それぞれ幼稚園5.6%, 2.0%, 小学校4.6%, 4.4%, 中学校3.0%, 8.3%であった. 一方, 風疹の感受性者と不明の率は, それぞれ幼稚園14.0%, 2.3%, 小学校21.8%, 5.4%, 中学校35.2%, 11.7%であった. 感受性者のうち接種証明書の提出率は, 麻疹が幼稚園, 小学校, 中学校の順に38.0%, 85.3%, 43.7% (平均59%), 風疹が21.8%, 28.2%, 11.6% (平均19%) であった. その結果, 麻疹の既感染率と接種率の合計は, 目標の90%以上を達成できたが, 風疹は57~87%と低かった. 先天性風疹症候群は次世代の問題であること, 最近風疹流行がないこと, 啓発不足より低接種率と考えられた. 今回の方法は単なる強い啓発のみと比較すると有効で, 今後継続することによって動機づけができると考えた. アレルギーやけいれんなどの理由によって接種できないと答えた者は全感受性者の13%あった. 一部には約40%を占める学校もあり, 地域による差が多かった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.77.667