複雑性尿路感染症に対するbiapenemの臨床用量検討

複雑性尿路感染症に対する新しい注射用カルバペネム剤, biapenem (BIPM) の臨床用量を検討する目的で, imipenem/cilastatin (IPM/CS) を対照薬とした用量検討試験を行った。対象は尿路に基礎疾患を有する複雑性尿路感染症とし, 入院症例, カテーテル非留置症例であることも条件に加えた。BIPMは1回150mg (L群) または300mg (H群), IPM/CSは500mg/500mg (C群) を1日2回, 5日間点滴静注後にUTI薬効評価基準に従って臨床効果を判定した。有効性の評価対象とした症例における患者背景因子は3群間に有意差を認めず, 総合有効率はL...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 42; no. 10; pp. 1114 - 1127
Main Authors 阿曾, 佳郎, 松本, 哲朗, 河田, 幸道, 中島, 光好, 守殿, 貞夫, 大森, 弘之, 公文, 裕巳, 出口, 隆, 熊澤, 淨一, 押, 正也, 荒川, 創一, 賀来, 満夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1994
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.42.1114

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Summary:複雑性尿路感染症に対する新しい注射用カルバペネム剤, biapenem (BIPM) の臨床用量を検討する目的で, imipenem/cilastatin (IPM/CS) を対照薬とした用量検討試験を行った。対象は尿路に基礎疾患を有する複雑性尿路感染症とし, 入院症例, カテーテル非留置症例であることも条件に加えた。BIPMは1回150mg (L群) または300mg (H群), IPM/CSは500mg/500mg (C群) を1日2回, 5日間点滴静注後にUTI薬効評価基準に従って臨床効果を判定した。有効性の評価対象とした症例における患者背景因子は3群間に有意差を認めず, 総合有効率はL群の19例で78.9%, H群の26例で84.6%, C群の21例で81.0%, 細菌消失率はL群の23株中91.3%, H群の33株中90.9%, C群の30株中93.3%であり, ともに3群間に有意差を認めなかった。副作用の発現率はL群の24例中4.2%であったが, H群の28例とC群の24例では1例も認められず, また臨床検査値の異常変動発現率はそれぞれ42%, 11.1%, 8.3%であり, いずれも3群間に有意差を認めず, 概括安全度, 有用性に関しても3群間に有意差を認めなかった。これらの成績から, 複雑性尿路感染症に対するBIPMの臨床用量は1日600mg (分2) が適当と判断した。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.42.1114