大腸癌肝転移に対する肝切除および動注化学療法による治療

大腸癌肝転移103例について検討した.大腸癌原発巣の根治度Cを1群, 根治度A, Bで肝切除不能例を2群, 根治度A, Bで肝切除例を3群とした.それぞれの群で肝動注化学療法の有無により非動注例をa群, 動注例をb群とした.1-a群20例, 1-b群7例, 2-a群16例, 2-b群15例, 3-a群28例, 3-b群17例であった.肝転移発見時からの2, 3, 5年生存率1群は19.3%, 0%, 2群で41%, 5.1%, 0%, 3群で77.2%, 65.8%, 51.7%と有意に肝切除群の成績が良好であった.1-a群と1-b群での累積生存率に有意差はなく, 根治度Cでは肝動注化学療法の...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 52; no. 5; pp. 402 - 408
Main Authors 瀬尾, 章, 下島, 裕寛, 渡辺, 正志, 長谷部, 行健, 鈴木, 康司, 船橋, 公彦, 中崎, 晴弘, 大城, 充, 辻田, 和紀, 吉雄, 敏文, 瀧田, 渉, 小林, 一雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 1999
Subjects
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.52.402

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Summary:大腸癌肝転移103例について検討した.大腸癌原発巣の根治度Cを1群, 根治度A, Bで肝切除不能例を2群, 根治度A, Bで肝切除例を3群とした.それぞれの群で肝動注化学療法の有無により非動注例をa群, 動注例をb群とした.1-a群20例, 1-b群7例, 2-a群16例, 2-b群15例, 3-a群28例, 3-b群17例であった.肝転移発見時からの2, 3, 5年生存率1群は19.3%, 0%, 2群で41%, 5.1%, 0%, 3群で77.2%, 65.8%, 51.7%と有意に肝切除群の成績が良好であった.1-a群と1-b群での累積生存率に有意差はなく, 根治度Cでは肝動注化学療法の意義は認められなかった.2-a群の2, 3年生存率は8.7%, 0%, 2-b群は77.4%, 11.1%と有意に動注群の成績が良好であった.3-a群の3, 5, 7年生存率は47.8%, 37.2%, 0%, 3-b群は92.9%, 74.5%, 49.7%と肝切除例の予防的動注化学療法群の成績が良好であった.大腸癌肝転移の治療として積極的に肝切除を施行し, さらに肝動注化学療法を併用することが予後の改善に寄与すると思われた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.52.402