糖尿病患者における赤血球変形能
最近, 糖尿病合併症の発生要因として, 末梢の組織アレキシアが注目されてきた. この末梢の組織アノキシアに関与する因子の一つとして, 赤血球変形能を各種糖尿病患者において測定し, 赤血球浸透圧抵抗, HbAI, 赤血球2,3-DPGとの関係から検討を加えた. 赤血球変形能は, Reid らの濾過法に, 一部改良を加え, 赤血球浸透圧抵抗はCPC測定装置を用い, HbAIは, Trivelli らの方法を改良した迅速測定法, 2,3-DPGは Ericson 変法で測定した. 赤血球変形能は, 健常者0.78±0.04ml・RBC/minに比べ, 糖尿病患者では0.53±0.03ml・RBC/m...
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          | Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 17; no. 5; pp. 542 - 546 | 
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| Main Authors | , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本老年医学会
    
        01.09.1980
     | 
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| ISSN | 0300-9173 | 
| DOI | 10.3143/geriatrics.17.542 | 
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| Summary: | 最近, 糖尿病合併症の発生要因として, 末梢の組織アレキシアが注目されてきた. この末梢の組織アノキシアに関与する因子の一つとして, 赤血球変形能を各種糖尿病患者において測定し, 赤血球浸透圧抵抗, HbAI, 赤血球2,3-DPGとの関係から検討を加えた. 赤血球変形能は, Reid らの濾過法に, 一部改良を加え, 赤血球浸透圧抵抗はCPC測定装置を用い, HbAIは, Trivelli らの方法を改良した迅速測定法, 2,3-DPGは Ericson 変法で測定した. 赤血球変形能は, 健常者0.78±0.04ml・RBC/minに比べ, 糖尿病患者では0.53±0.03ml・RBC/minと有意に低下し, 糖尿病性合併症群では, 合併症の重症度に比例して, より一層の低下がみられた. この赤血球変形能とHbAIとの間に有意な負の相関を認めた. 赤血球浸透圧抵抗は, 健常者60.0±0.5mOsmであるのに比べ, 糖尿病患者では64.3±0.6mOsmと有意な高張側移行を示し, 赤血球変形能とは負の相関を認めた. また, 赤血球2,3-DPGは, 重症合併症群で有意な低下を認めた. 以上, 糖尿病患者の赤血球変形能を左右する因子の一つとして赤血球膜浸透圧抵抗の低下およびHbAIの増加が考えられ, また, 糖尿病の合併症発生には組織アノキシアの観点より, 赤血球変形能の低下と共に2,3-DPGの低下等も関与しているものと考えられた. | 
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| ISSN: | 0300-9173 | 
| DOI: | 10.3143/geriatrics.17.542 |