特発性正常圧水頭症の鑑別診断におけるMulti-Head AttentionとDiversify-Lossを用いた包括的脳全体アプローチの検討
特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus: iNPH)は、歩行障害、認知機能低下、尿失禁の三徴候を特徴とし、高齢者に多く見られる疾患である。iNPHでは脳室の拡大や高位円蓋部・正中部の脳溝の狭小化が見られ、シャント手術による症状改善が期待される。一方、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy: PSP)は、歩行障害や認知機能低下、垂直方向の眼球運動障害を伴い、中脳被蓋部の萎縮が特徴である。両者の症状は類似しているが、iNPHのみ治療により完治可能なため、正確な鑑別診断が求められるが、現在の診断は脳...
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Published in | バイオメディカル・ファジィ・システム学会大会講演論文集 p. 104 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
2025
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ISSN | 1345-1510 2424-2586 |
DOI | 10.24466/pacbfsa.37.0_104 |
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Summary: | 特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus: iNPH)は、歩行障害、認知機能低下、尿失禁の三徴候を特徴とし、高齢者に多く見られる疾患である。iNPHでは脳室の拡大や高位円蓋部・正中部の脳溝の狭小化が見られ、シャント手術による症状改善が期待される。一方、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy: PSP)は、歩行障害や認知機能低下、垂直方向の眼球運動障害を伴い、中脳被蓋部の萎縮が特徴である。両者の症状は類似しているが、iNPHのみ治療により完治可能なため、正確な鑑別診断が求められるが、現在の診断は脳MRI画像の視覚的評価に依存し、診断者の経験や知識により読影者間のばらつきが課題とされる。本研究では、両疾患の脳の異なる部位での特徴的な萎縮、拡大パターンを考慮するために、Multi-Head attention CNN (MA-CNN) とDiversify-Lossを組み合わせた手法を提案する。まず、Voxel-Based Morphometry(VBM)解析を用いて灰白質(gray matter: GM)を抽出し、脳画像をMontreal Neurological Institute空間に標準化する前処理を行う。その後、前処理済みのGM画像をMA-CNNモデルに入力し、複数の注意マップを生成することで、脳のさまざまな領域に同時に焦点を当てることを可能にする。Diversify-Lossは、各Attentionマップの焦点が重複しないようにし、より多様な特徴抽出を促進することで、モデルの汎化性能を向上させる。提案手法は、iNPH患者39名とPSP患者39名を対象に検証され、Accuracy0.962、AUC0.978を達成し、従来の3DCNN(Accuracy0.822、AUC 0.936)とDiversify-Lossを使用しない手法(精度0.911、AUC 0.966)の両方を大幅に上回る結果となった。 |
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ISSN: | 1345-1510 2424-2586 |
DOI: | 10.24466/pacbfsa.37.0_104 |