認知機能と情動に対する小脳の関わり

小脳が運動制御の中枢であることは古くから知られてきた。しかし1980年代半ばから,解剖学,神経放射線学,電気整理学などの分野で急速な発展がみられ,小脳の認知機能への関わりについての報告や研究が増加し,小脳の役割に関する研究は大きな転機を迎えている。臨床においても小脳病変を有する患者の認知機能障害や情動障害が以前から指摘されていたが,cerebellar cognitive affective syndrome(CCAS,小脳性認知情動症候群)の概念が提唱されたことにより,その評価や治療などに関連する領域においても小脳が認知機能に対して果たす役割がこれまで以上に注目されている。今後の発展に向けて...

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Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 45; no. 2; pp. 100 - 109
Main Authors 前島, 伸一郎, 大沢, 愛子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能学会 30.06.2025
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ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.45.100

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Summary:小脳が運動制御の中枢であることは古くから知られてきた。しかし1980年代半ばから,解剖学,神経放射線学,電気整理学などの分野で急速な発展がみられ,小脳の認知機能への関わりについての報告や研究が増加し,小脳の役割に関する研究は大きな転機を迎えている。臨床においても小脳病変を有する患者の認知機能障害や情動障害が以前から指摘されていたが,cerebellar cognitive affective syndrome(CCAS,小脳性認知情動症候群)の概念が提唱されたことにより,その評価や治療などに関連する領域においても小脳が認知機能に対して果たす役割がこれまで以上に注目されている。今後の発展に向けて,より多くの臨床家が小脳と認知機能の関連について着目し,症状の詳細な観察を通じてさらなる知見を積み重ねることが求められる。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.45.100