甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018年版:専門医の立場から

甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018年版が発行された。初版から8年ぶりの改訂で,作成委員長はじめ委員の考えがよく反映された内容と考えられた。乳頭癌では,リスク分類で1cm以下の腫瘍が超低リスクとして加えられ,非手術経過観察が推奨された。本邦のみのエビデンスを根拠に世界に先駆けてガイドラインに明記されたことは大変意義深い。未分化癌では,初版後に集積された知見からフローチャート・内容が大幅に改訂された。採用されたエビデンスの多くが本邦から発信されたもので,稀少で難治である未分化癌に対するAll Japanの成果をあらわしており,今後もさらに進化する分野であると思う。濾胞癌において微少浸潤型で危険因子...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 19 - 23
Main Author 今井, 常夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.36.1_19

Cover

More Information
Summary:甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018年版が発行された。初版から8年ぶりの改訂で,作成委員長はじめ委員の考えがよく反映された内容と考えられた。乳頭癌では,リスク分類で1cm以下の腫瘍が超低リスクとして加えられ,非手術経過観察が推奨された。本邦のみのエビデンスを根拠に世界に先駆けてガイドラインに明記されたことは大変意義深い。未分化癌では,初版後に集積された知見からフローチャート・内容が大幅に改訂された。採用されたエビデンスの多くが本邦から発信されたもので,稀少で難治である未分化癌に対するAll Japanの成果をあらわしており,今後もさらに進化する分野であると思う。濾胞癌において微少浸潤型で危険因子がある場合に補完全摘も考慮してよいと改訂されたのは本邦からのエビデンスが根拠になった。髄様癌,放射線治療においても新たなCQや概念が解説され,分子標的薬治療は2018年版から追加された。初版同様,世界から注目される内容のガイドラインになったと思う。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.36.1_19