成人もやもや病患者バイパス術前後の神経心理学的検査結果と生活変化およびリハビリテーションセラピストの役割
もやもや病患者のバイパス術前後の神経心理学的検査と生活の変化,術前からリハビリテーションセラピストが介入する意義を検討した。対象は47例,手術前後で神経心理学的検査と手術後に術前後の自覚症状・心境・生活の変化についてアンケートを実施した。その結果,digit span順唱以外の検査で術前に比べて術後に成績が上昇し,特にTMT-J Part BとRCPMの向上は有意であったが,効果量は小さかった。術後に自覚症状が改善したり不安が減少したりした例が多かったが,悪化した例もいた。術後86%が復職,うち33%は時短勤務などで,37%は自覚症状残存のまま復職した。セラピストに対しては退院後の生活の注意点...
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| Published in | 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 45; no. 3; pp. 128 - 139 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本高次脳機能学会
30.09.2025
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| Subjects | |
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| ISSN | 1348-4818 1880-6554 |
| DOI | 10.2496/hbfr.45.128 |
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| Summary: | もやもや病患者のバイパス術前後の神経心理学的検査と生活の変化,術前からリハビリテーションセラピストが介入する意義を検討した。対象は47例,手術前後で神経心理学的検査と手術後に術前後の自覚症状・心境・生活の変化についてアンケートを実施した。その結果,digit span順唱以外の検査で術前に比べて術後に成績が上昇し,特にTMT-J Part BとRCPMの向上は有意であったが,効果量は小さかった。術後に自覚症状が改善したり不安が減少したりした例が多かったが,悪化した例もいた。術後86%が復職,うち33%は時短勤務などで,37%は自覚症状残存のまま復職した。セラピストに対しては退院後の生活の注意点や予想される困難についての説明が期待されていた。以上から,自覚症状の悪化・残存が不安の増加につながること,復職には職場の理解を含めた環境調整が必要であることが示唆された。セラピストには検査を行うだけでなく,術後に生じた高次脳機能障害に対する訓練を行い,患者が必要とする情報を詳細に説明する役割と環境調整を含めた指導が求められていると考えられる。 |
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| ISSN: | 1348-4818 1880-6554 |
| DOI: | 10.2496/hbfr.45.128 |