子育て家庭の生活資源コントロールの可能性と課題 福島原発事故下での遊び環境獲得に向けて
本稿の目的は, 今後長期的に続くとみられる放射線の影響を前提として, 第1に, 屋内遊び場の利用実態及び保養の参加状況を把握し, 第2に, 屋内遊び場の利用や保養の参加がもたらす生活の変化の有無, 及びその変化を生活資源コントロール論にもとづいて5つの段階に整理し, 生活資源への参画状況を分析し, 第3に, 福島原発事故下での非日常の遊び環境獲得に効果的な子育て家庭の力の発揮に向けた生活資源コントロールの可能性と課題を明らかにすることである. 方法は, 「震災から4年半後の遊び環境についてのアンケート調査」を実施し, 主に生活資源コントロール論にもとづいて整理し, 生活資源への参画状況に着目...
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Published in | 日本家政学会誌 Vol. 74; no. 6; pp. 319 - 331 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本家政学会
2023
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0913-5227 1882-0352 |
DOI | 10.11428/jhej.74.319 |
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Summary: | 本稿の目的は, 今後長期的に続くとみられる放射線の影響を前提として, 第1に, 屋内遊び場の利用実態及び保養の参加状況を把握し, 第2に, 屋内遊び場の利用や保養の参加がもたらす生活の変化の有無, 及びその変化を生活資源コントロール論にもとづいて5つの段階に整理し, 生活資源への参画状況を分析し, 第3に, 福島原発事故下での非日常の遊び環境獲得に効果的な子育て家庭の力の発揮に向けた生活資源コントロールの可能性と課題を明らかにすることである. 方法は, 「震災から4年半後の遊び環境についてのアンケート調査」を実施し, 主に生活資源コントロール論にもとづいて整理し, 生活資源への参画状況に着目して分析を行う. 調査の結果, 第1に, 保護者の91.7%が屋内遊び場を利用しているが, 保養に参加している保護者は少ないこと, 第2に, 生活の外部的条件の獲得 (屋内遊び場の利用や保養の参加) は, 利用や参加の頻度に応じて, 子育て家庭の生活の内部的条件に変化をもたらし, 子育て家庭の生活資源コントロールの可能性を高めていること, 第3に, 屋内遊び場の利用や保養の参加 (外部的条件) にあたって, より高いハードル (参加にあたっての条件の厳しさや頻度など) を乗り越えていることが, 総合的かつ積極的な生活意識の変化 (内部的条件) につながっている. そのため, 子育て家庭による生活の外部的条件の獲得 (屋内遊び場の利用や保養の参加) の機会を保障し, その過程において, 子育て家庭の参加を制度的に保障したうえで, 生活資源コントロールの可能性を高めることが重要である. |
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ISSN: | 0913-5227 1882-0352 |
DOI: | 10.11428/jhej.74.319 |