NOM時代における外傷性肝損傷に対する治療成績 NOMの適応と限界に関する検討

【背景/目的】外傷性肝損傷治療の基本は非手術療法(以下,NOM)であり,その実際を明らかにする。【対象/方法】対象期間は2010年1月より2015年12月,16施設に対しアンケート調査を行い,鈍的肝損傷症例を抽出し,NOM選択例の治療経過を検討した。【結果】対象は239例,年齢39.6歳,男性155人,肝損傷分類Ⅰa:Ⅰb:Ⅱ:Ⅲa:Ⅲb=38:101:24:23:53,受傷機転は交通外傷が最多だった。NOM選択率は95.4%,NOM完遂率は94.7%,晩期合併症6例(2.5%),死亡19例(7.9%)であった。肝損傷による死亡は8例であり,うちNOM逸脱例が4例(出血死)を占めていた。またⅢ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 7; pp. 1179 - 1183
Main Authors 赤星, 朋比古, 吉屋, 匠平, 伊藤, 心二, 梶山, 潔, 皆川, 亮介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2019
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.39.1179

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Summary:【背景/目的】外傷性肝損傷治療の基本は非手術療法(以下,NOM)であり,その実際を明らかにする。【対象/方法】対象期間は2010年1月より2015年12月,16施設に対しアンケート調査を行い,鈍的肝損傷症例を抽出し,NOM選択例の治療経過を検討した。【結果】対象は239例,年齢39.6歳,男性155人,肝損傷分類Ⅰa:Ⅰb:Ⅱ:Ⅲa:Ⅲb=38:101:24:23:53,受傷機転は交通外傷が最多だった。NOM選択率は95.4%,NOM完遂率は94.7%,晩期合併症6例(2.5%),死亡19例(7.9%)であった。肝損傷による死亡は8例であり,うちNOM逸脱例が4例(出血死)を占めていた。またⅢ型肝損傷例におけるNOM逸脱の危険因子は輸血量とアシドーシスであった。【結語】出血が原因でNOM逸脱となった症例の予後は悪く,アシドーシスや輸血必要量を考慮した初期治療選択やNOM後の慎重な経過観察が予後改善に重要であると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.1179