入院関連機能障害(Hospitalization-Associated Disability:HAD)を呈した高齢心不全患者の特徴

目的:当院における高齢心不全患者の入院関連機能障害(Hospitalization-Associated Disability:HAD)有病率を明らかにすること,高齢心不全患者をHADの有無で比較検討し,高齢心不全患者のHADの特徴を明らかにすること,ならびにHADを予測する因子について検討することとした.  方法:単一施設における後方視的観察研究を実施した.2020年10月から2021年9月に当院へ入院した65歳以上の心不全患者154名を対象とした.HAD有病率について,Barthel Index(BI)≧95,60≦BI<95,BI<60の3群に分け比較した.また,入院前BIにおいて歩行項...

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Published in心臓 Vol. 55; no. 8; pp. 828 - 835
Main Authors 成田, 遥香, 山本, 勲, 渋谷, 諒, 田谷, 勇哉, 小野, 環, 赤澤, 奈緒, 江口, 凌平, 岡馬, 隆晶, 勝部, 晋介, 河合, 勇介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.08.2023
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.55.828

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Summary:目的:当院における高齢心不全患者の入院関連機能障害(Hospitalization-Associated Disability:HAD)有病率を明らかにすること,高齢心不全患者をHADの有無で比較検討し,高齢心不全患者のHADの特徴を明らかにすること,ならびにHADを予測する因子について検討することとした.  方法:単一施設における後方視的観察研究を実施した.2020年10月から2021年9月に当院へ入院した65歳以上の心不全患者154名を対象とした.HAD有病率について,Barthel Index(BI)≧95,60≦BI<95,BI<60の3群に分け比較した.また,入院前BIにおいて歩行項目が5点以下を除外した112名を対象に,入院前BIと比較して退院時BIが5点以上低下した者をHAD,それ以外をnon-HADと定義し,2群間で比較検討した.  結果:65歳以上の急性心不全患者154名のうち(データ欠損2名を除く),75名(49.3%)にHADを認めた.BI≧95:27名(45.8%),60≦BI<95:33名(62.3%),BI<60:15名(37.5%)にHADを認めた.2群間の比較について,解析対象98名のうち,HAD群48名(女性:28名,年齢85.6±7.7歳),non-HAD群50名(女性:22名,年齢80.7±7.5歳)であった.2群間において,年齢,介護保険利用の有無,高血圧の有無,運動機能,認知機能,握力,立位・歩行開始までの期間,退院時BI,退院時歩行BI,在院日数,自宅復帰率で有意差を認めた.さらに,HADの有無を従属変数に多変量ロジスティック回帰分析を実施し,年齢(オッズ比:1.09,95%信頼区間:1.00-1.17,p値:0.04)と歩行開始までの期間(オッズ比:1.25,95%信頼区間:1.01-1.54,p値:0.04)がHADを予測する因子として抽出された.  考察:高齢心不全患者では高率でHADを生じ,HADには年齢および歩行開始までの期間が関与していることが示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.55.828