手術による摘出を要した機能的端端吻合部巨大腸石(径75mm)の1例

機能的端端吻合は,小腸や大腸の切除後の再建時に用いられる吻合法で自動縫合器によって行う腸管吻合法である.消化管内の真性結石である腸石は,憩室内や消化管の盲端部に形成されたとする報告があるが,機能的端端吻合部に形成され,手術を要したとする報告はない.今回,われわれは横行結腸癌術後機能的端端吻合部に発生した径75mmの巨大腸石に対して腸管切除による摘出術を施行した.経時的に腸石外側に高輝度の層状構造が出現,増大する過程をCTで観察できたことは非常に稀であり,成因を含めて考察を行うことができた.左側結腸は元来腸管内容が固形化しているため,右側結腸と比較して潜在的な危険はあったものと考える.腸石形成の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 11; pp. 2285 - 2289
Main Authors 手塚, 徹, 舘野, 佑樹, 畑地, 健一郎, 桂川, 秀雄, 石井, 雅之, 林, 隆広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.2285

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Summary:機能的端端吻合は,小腸や大腸の切除後の再建時に用いられる吻合法で自動縫合器によって行う腸管吻合法である.消化管内の真性結石である腸石は,憩室内や消化管の盲端部に形成されたとする報告があるが,機能的端端吻合部に形成され,手術を要したとする報告はない.今回,われわれは横行結腸癌術後機能的端端吻合部に発生した径75mmの巨大腸石に対して腸管切除による摘出術を施行した.経時的に腸石外側に高輝度の層状構造が出現,増大する過程をCTで観察できたことは非常に稀であり,成因を含めて考察を行うことができた.左側結腸は元来腸管内容が固形化しているため,右側結腸と比較して潜在的な危険はあったものと考える.腸石形成の予防のためには,過度な口径差が生じることを避けることが必要であると考える.また,吻合部に貯留した便塊の外側にCT上高輝度の層状構造を伴う場合は手術を念頭に置いた経過観察が必要であると考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.2285