カラードプラー超音波内視鏡(CDEUS)からみた食道静脈瘤に対する撲滅結紮法前後の血行の変化

我々の施設では,平均40個のO-ringを用いる撲滅結紮法(eEVL)で,食道静脈瘤を治療している。今回初回治療の食道静脈瘤10症例に対し,カラードプラー超音波内視鏡(CDEUS)を施行し,eEVL前後で静脈瘤供血路である左胃静脈(LGV)の変化を検討した。LGVは6例で血流の検出が可能でありすべて遠肝性であった。eEVL後,この6例のうち3例は遠肝性のまま,1例は求肝性に転じ,残りの6例は描出できなかった。LGV前枝はeEVL前に,遠肝性3例,to and fro 1例の計4例が描出されたが,eEVL後にはこの3例のうち2例が遠肝性に描出されただけで8例は描出不能であった。LGV後枝はeEV...

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Published in消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy Vol. 57; no. 2; pp. 30 - 33
Main Authors 松崎, 浩司, 三木, 一正, 中野, 茂, 蜂矢, 朗彦, 伊藤, 都, 片桐, 正人, 藤井, 真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2000
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ISSN0389-9403
0389-9403
DOI10.11641/pdensks.57.2_30

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Summary:我々の施設では,平均40個のO-ringを用いる撲滅結紮法(eEVL)で,食道静脈瘤を治療している。今回初回治療の食道静脈瘤10症例に対し,カラードプラー超音波内視鏡(CDEUS)を施行し,eEVL前後で静脈瘤供血路である左胃静脈(LGV)の変化を検討した。LGVは6例で血流の検出が可能でありすべて遠肝性であった。eEVL後,この6例のうち3例は遠肝性のまま,1例は求肝性に転じ,残りの6例は描出できなかった。LGV前枝はeEVL前に,遠肝性3例,to and fro 1例の計4例が描出されたが,eEVL後にはこの3例のうち2例が遠肝性に描出されただけで8例は描出不能であった。LGV後枝はeEVL前,1例のみが遠肝性に描出されたが,eEVL後には,2例が遠肝性に描出された。eEVL後,LGVとLGV前枝の描出が不良となり,血管径,血流速度および血流量は減少する傾向を認めたが,LGV後枝にこの傾向はなかった。以上より撲滅結紮法には食道静脈瘤への供血路を遮断する効果がある可能性が示唆された。
ISSN:0389-9403
0389-9403
DOI:10.11641/pdensks.57.2_30