妊娠中期に進行胃癌と診断しS-1/L-OHP(SOX)による化学療法を施行した1例
進行胃癌合併妊娠にSOX(S-1/L-OHP)による化学療法を施行し,生児を得た1例を経験した.症例は34歳,妊娠10週より持続する上腹部症状を主訴に受診し,妊娠23週で低分化型腺癌の診断となった.妊娠26週0日よりSOX療法を1コース施行し,妊娠32週5日に選択的帝王切開術で分娩に至った.分娩後は外来で化学療法を施行したが,帝王切開後約9カ月で永眠された.児は1,572gの女児,Apgar score:8点(1分値),9点(5分値)で出生し,生後54日で退院となり,現在まで発育・発達に異常を認めない.妊娠中の化学療法の母児への影響は未だ不明な点が多い.進行胃癌の化学療法はSP療法が推奨されて...
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Published in | 日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 56; no. 2; pp. 330 - 334 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
2020
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Subjects | |
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ISSN | 1348-964X 2435-4996 |
DOI | 10.34456/jjspnm.56.2_330 |
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Summary: | 進行胃癌合併妊娠にSOX(S-1/L-OHP)による化学療法を施行し,生児を得た1例を経験した.症例は34歳,妊娠10週より持続する上腹部症状を主訴に受診し,妊娠23週で低分化型腺癌の診断となった.妊娠26週0日よりSOX療法を1コース施行し,妊娠32週5日に選択的帝王切開術で分娩に至った.分娩後は外来で化学療法を施行したが,帝王切開後約9カ月で永眠された.児は1,572gの女児,Apgar score:8点(1分値),9点(5分値)で出生し,生後54日で退院となり,現在まで発育・発達に異常を認めない.妊娠中の化学療法の母児への影響は未だ不明な点が多い.進行胃癌の化学療法はSP療法が推奨されてきたが,近年はSOX療法に変わりつつある.胃癌合併妊娠において明確な指針は未だ示されておらず,今後も症例毎の対応を要するが,SOX療法の母児への影響を検討する上で貴重な1例と考えられた. |
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ISSN: | 1348-964X 2435-4996 |
DOI: | 10.34456/jjspnm.56.2_330 |