粘膜下腫瘍様の形態を呈した胃粘膜癌(m癌)の1例

粘膜下腫瘍様の形態を呈した胃粘膜癌(m癌)を経験したので報告する.症例は64歳の女性.検診で胃体上部大彎前壁に粘膜下腫瘍様の病変を指摘され,1年3カ月経過観察の後に胃癌として診断され当科紹介となった.精査の結果,胃癌cT2N0M0と診断し,胃全摘術(D2郭清),脾臓摘出術を施行した.病理結果はwell differentiated adenocarcinoma(tub1),Type0-I,22×15×15mm,pT1a,ly0,v0,pN0,pStage IAであった.粘膜筋板が頂部から憩室様に内反し,そこに腫瘍が陥入するように存在しており,粘膜筋板の連続性は保たれ粘膜癌の診断となった.術後4...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 12; pp. 2658 - 2663
Main Authors 米本, 昇平, 早野, 康一, 松原, 久裕, 今西, 俊介, 上里, 昌也, 羽成, 直行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.2658

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Summary:粘膜下腫瘍様の形態を呈した胃粘膜癌(m癌)を経験したので報告する.症例は64歳の女性.検診で胃体上部大彎前壁に粘膜下腫瘍様の病変を指摘され,1年3カ月経過観察の後に胃癌として診断され当科紹介となった.精査の結果,胃癌cT2N0M0と診断し,胃全摘術(D2郭清),脾臓摘出術を施行した.病理結果はwell differentiated adenocarcinoma(tub1),Type0-I,22×15×15mm,pT1a,ly0,v0,pN0,pStage IAであった.粘膜筋板が頂部から憩室様に内反し,そこに腫瘍が陥入するように存在しており,粘膜筋板の連続性は保たれ粘膜癌の診断となった.術後4カ月無再発経過中である.粘膜下腫瘍様の形態を呈する胃癌の中でもこのような形態を呈することは非常に稀であり,術前深達度診断は困難である.本邦での粘膜下腫瘍様胃癌210例を集計し,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2658