30歳正常肝に発生した肝細胞癌(最大径12cm)の1例

症例は30歳,男性.健康診断の腹部超音波検査で肝右葉に腫瘤を指摘され,精査目的に当院紹介となった.肝機能異常は認めず,血中HB ,HCウィルスマーカーは陰性だった.常用薬は無く,肝疾患を有する家族歴も認めなかった.腫瘍マーカーは陰性だった.CTでは肝後区域に10×11×12cmの腫瘤を認めた.MRIではT2強調で不均一な高信号,T1強調で低信号を呈し,脂肪成分の含有を認めず,充実部分は拡散低下を呈していた.肝原発の悪性腫瘍が疑われ,診断治療目的に手術の方針とした.手術は肝右葉切除術を行った.病理組織学的検査では低分化型の肝細胞癌の診断であり,非癌部は正常肝だった.術後10カ月を経過した現在も再...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 11; pp. 2067 - 2072
Main Authors 阿部, 有佳, 舛井, 秀宣, 野尻, 和典, 津浦, 幸夫, 長堀, 薫, 茂垣, 雅俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.2067

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Summary:症例は30歳,男性.健康診断の腹部超音波検査で肝右葉に腫瘤を指摘され,精査目的に当院紹介となった.肝機能異常は認めず,血中HB ,HCウィルスマーカーは陰性だった.常用薬は無く,肝疾患を有する家族歴も認めなかった.腫瘍マーカーは陰性だった.CTでは肝後区域に10×11×12cmの腫瘤を認めた.MRIではT2強調で不均一な高信号,T1強調で低信号を呈し,脂肪成分の含有を認めず,充実部分は拡散低下を呈していた.肝原発の悪性腫瘍が疑われ,診断治療目的に手術の方針とした.手術は肝右葉切除術を行った.病理組織学的検査では低分化型の肝細胞癌の診断であり,非癌部は正常肝だった.術後10カ月を経過した現在も再発なく外来フォロー中である.背景にHCCリスクを持たない若年肝細胞癌の症例は非常に稀である.その病因や予後に関しては解明されていないのが現状であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.2067