PTEN過誤腫症候群に発症した若年(30歳台)乳癌の2例
PTEN過誤腫症候群の女性に乳癌を発症した2症例を経験した.症例1は33歳,女性.両側乳癌Stage IV,ER陽性HER2陰性の診断で治療が行われたが奏効せず,当院がん遺伝子診断外来を受診.網羅的遺伝子解析でPTEN遺伝子の生殖細胞変異(p.R130*)を認めた.PTEN遺伝子下流のシグナル伝達因子であるmTORを阻害するエベロリムスと内分泌療法による治療を開始したが,急速に病状が悪化し死亡した.症例2は35歳,女性.右乳房腫瘤を自覚し当科を受診.精査で右乳癌と子宮体癌と診断された.若年での重複癌と特徴的な既往歴,家族歴からCowden症候群が疑われた.遺伝子検査の結果,PTEN遺伝子の生殖...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 12; pp. 2624 - 2628 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2017
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.78.2624 |
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Summary: | PTEN過誤腫症候群の女性に乳癌を発症した2症例を経験した.症例1は33歳,女性.両側乳癌Stage IV,ER陽性HER2陰性の診断で治療が行われたが奏効せず,当院がん遺伝子診断外来を受診.網羅的遺伝子解析でPTEN遺伝子の生殖細胞変異(p.R130*)を認めた.PTEN遺伝子下流のシグナル伝達因子であるmTORを阻害するエベロリムスと内分泌療法による治療を開始したが,急速に病状が悪化し死亡した.症例2は35歳,女性.右乳房腫瘤を自覚し当科を受診.精査で右乳癌と子宮体癌と診断された.若年での重複癌と特徴的な既往歴,家族歴からCowden症候群が疑われた.遺伝子検査の結果,PTEN遺伝子の生殖細胞変異(c. 723dupT)を認めた.右乳癌(ER陽性HER2陰性)に対して手術と化学療法を施行したが,術後8カ月で骨転移が出現した.内分泌療法が開始され,現在も加療中である. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.78.2624 |