腹腔鏡下腫瘍切除により診断し得た肝Lymphoepithelioma-like carcinoma(LELC)の一例

症例はC型肝硬変に対して7年前にウイルス学的著効を達成した73歳女性.肝細胞癌のスクリーニング目的の腹部CT検査で肝S7に単発腫瘤を指摘された.経皮的肝腫瘤生検の結果,臨床的に低分化型肝細胞癌と診断し,腹腔鏡下肝腫瘍切除術を施行した.腫瘍は被膜を伴わない結節状の病変であり,病理組織学的所見ではリンパ球を含む炎症細胞浸潤が顕著で,N/C比の高い肝細胞類似の異型細胞の混在を認めた.また免疫染色ではN/C比の高い異型細胞で一部の上皮性マーカーが陽性を示したことからLymphoepithelioma-like carcinoma(LELC)と診断した.術後2年以上経過するが再発は認めていない.LELC...

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Published in肝臓 Vol. 62; no. 11; pp. 724 - 733
Main Authors 高台, 真太郎, 濱野, 玄弥, 清水, 貞利, 金沢, 景繁, 中井, 隆志, 岡田, 真穂, 天野, 優雅, 井上, 健, 福島, 裕子, 木岡, 清英, 川崎, 靖子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.11.2021
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.62.724

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Summary:症例はC型肝硬変に対して7年前にウイルス学的著効を達成した73歳女性.肝細胞癌のスクリーニング目的の腹部CT検査で肝S7に単発腫瘤を指摘された.経皮的肝腫瘤生検の結果,臨床的に低分化型肝細胞癌と診断し,腹腔鏡下肝腫瘍切除術を施行した.腫瘍は被膜を伴わない結節状の病変であり,病理組織学的所見ではリンパ球を含む炎症細胞浸潤が顕著で,N/C比の高い肝細胞類似の異型細胞の混在を認めた.また免疫染色ではN/C比の高い異型細胞で一部の上皮性マーカーが陽性を示したことからLymphoepithelioma-like carcinoma(LELC)と診断した.術後2年以上経過するが再発は認めていない.LELCの診断は主として病理学的所見に依存するが,肝細胞癌や肝内胆管癌に類似した特徴をもつため,肝生検では診断が困難であることも少なくない.低分化癌においては常に鑑別に挙げることが重要であると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.62.724