Nested PCR法による爪真菌症起因菌同定の検討

爪真菌症の起因菌は培養検査で分離同定されるが、培養陽性率が低いために、十分な検討は成されていないのが現状である。そこで今回われわれは、爪真菌症の起因菌同定に寄与できる診断法としてnested PCR法を用いたdermatophyte及びnondermatophyte特異的遺伝子診断法を開発し、本症の臨床検体に対する非培養系による起因菌同定の可能性について検討した。菌特異的プライマーの設計にあたっては本邦で爪から分離される頻度が比較的高いと思われる各菌種を選定した。すなわちdermatophyte ではdermatophyte共通プライマー、T. rubrum、T. mentagrophytes...

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Published in日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 p. 127
Main Authors 槇村, 浩一, 安部, 茂, 佐藤, 公美子, 坪井, 良治, 海老原, 睦仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医真菌学会 2006
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ISSN0916-4804
DOI10.11534/jsmm.50.0.127.0

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Summary:爪真菌症の起因菌は培養検査で分離同定されるが、培養陽性率が低いために、十分な検討は成されていないのが現状である。そこで今回われわれは、爪真菌症の起因菌同定に寄与できる診断法としてnested PCR法を用いたdermatophyte及びnondermatophyte特異的遺伝子診断法を開発し、本症の臨床検体に対する非培養系による起因菌同定の可能性について検討した。菌特異的プライマーの設計にあたっては本邦で爪から分離される頻度が比較的高いと思われる各菌種を選定した。すなわちdermatophyte ではdermatophyte共通プライマー、T. rubrum、T. mentagrophytes、 nondermatophyteではAspergillus spp、Scopulariopsis brevicaulis、Fusarium solani、Fusarium oxysporum、Fusarium verticillioides の各種プライマー対を28S rDNA塩基配列から設計した。標準菌株および臨床分離株からDNAを抽出し、個々のプライマー対を用いたPCR法の特異性を確認後、未治療の爪真菌症患者の臨床検体50例に対しnested PCR法を施行した。その結果、78%(39/50例)にdermatophyte、34%(17/50例)にnondermatophyteを検出し、重複例を18%(9/50例)認めた。菌種としては、既報の分離培養の結果と同じくT. rubrumが高頻度に検出されたが、nondermatophyteの単独検出例も8例認められた。臨床像もあわせて報告する
Bibliography:P114(SVI-5)
ISSN:0916-4804
DOI:10.11534/jsmm.50.0.127.0