慢性活動性肝炎併存肝細胞癌に対する肝切除術における生体防御能測定の意義

慢性活動性肝炎 (CAH) 併存肝細胞癌例では肝切除などの侵襲過大な手術によって術後肝不全を発症する可能性はきわめて高い.今回, 肝切除術後に順調に経過したCAH非併存の肝硬変6例 (1群) と肝切除術後に肝不全にて死亡したCAH併存の4例 (II群) とを対比し, 主に生体防御能を示す諸指標につき検討を加えた.網内系phagocytic index, オプソニン活性, CH50, フィブロネクチン, Leu11を測定したところ, それらの術後14日までの値はいずれも1群に比較してII群で有意の低値を示した.さらに術前のオプソニン活性 (I群97.2±3.7%: II群82.3±9.4%, p...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 25; no. 3; pp. 793 - 798
Main Authors 富永, 剛, 松野, 正紀, 松原, 修二, 大内, 清昭, 鈴木, 正徳, 武藤, 大成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.1992
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.25.793

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Summary:慢性活動性肝炎 (CAH) 併存肝細胞癌例では肝切除などの侵襲過大な手術によって術後肝不全を発症する可能性はきわめて高い.今回, 肝切除術後に順調に経過したCAH非併存の肝硬変6例 (1群) と肝切除術後に肝不全にて死亡したCAH併存の4例 (II群) とを対比し, 主に生体防御能を示す諸指標につき検討を加えた.網内系phagocytic index, オプソニン活性, CH50, フィブロネクチン, Leu11を測定したところ, それらの術後14日までの値はいずれも1群に比較してII群で有意の低値を示した.さらに術前のオプソニン活性 (I群97.2±3.7%: II群82.3±9.4%, p<0.01), CH50 (1群38.4±5.1u/ml: II群23.7±5.9u/ml, p<0.01) には両群間に有意の差を認め, これらが低下している症例では活動性の肝病変を合併している可能性を念頭におくべきと考えられた.以上, 生体防御能諸指標は手術適応および術式の決定, 予後の予測にきわめて重要な因子となりうる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.25.793