線画に比べ実物や写真でより顕著な障害を認めた視覚失認の一例 輪郭線だけがわっとある

症例は 83 歳, 右利き男性。視覚失認, 大脳性色覚障害, 失語症, 前向性健忘を呈した。MRI では左側の舌状回・紡錘状回を含む後頭葉から側頭葉内側下部に出血性梗塞, および左視床, 右後頭葉の内側下部に脳梗塞を認めた。一般的に, 視覚対象の認知は実物や写真より線画のほうが難しいと考えられている。しかし, 症例では線画に比べ実物や写真の認知が不良であった。症例の視覚認知機能をさらに検討した結果, 輪郭情報にもとづく対象の認知は比較的保たれていたが, 陰影や奥行きの情報を統合し, 立体感のある対象として認知することが困難であると考えられた。...

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Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 36; no. 2; pp. 304 - 311
Main Authors 塚本, 能三, 西川, 隆, 竹田, 奈央子, 渋谷, 静英, 柏木, 敏宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能学会 30.06.2016
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ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.36.304

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Summary:症例は 83 歳, 右利き男性。視覚失認, 大脳性色覚障害, 失語症, 前向性健忘を呈した。MRI では左側の舌状回・紡錘状回を含む後頭葉から側頭葉内側下部に出血性梗塞, および左視床, 右後頭葉の内側下部に脳梗塞を認めた。一般的に, 視覚対象の認知は実物や写真より線画のほうが難しいと考えられている。しかし, 症例では線画に比べ実物や写真の認知が不良であった。症例の視覚認知機能をさらに検討した結果, 輪郭情報にもとづく対象の認知は比較的保たれていたが, 陰影や奥行きの情報を統合し, 立体感のある対象として認知することが困難であると考えられた。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.36.304