急激な転帰をとった外腸骨動脈結腸瘻の1例 救命のために求められることは

症例は53歳,男性。骨盤部後腹膜腫瘍の局所再発で腫瘍摘出が施行された。術後12日目に突然の大量下血でショック状態に陥った。急速輸液を行ったがショックを離脱できず,下顎呼吸および対光反射も微弱になったため心肺蘇生が開始された。濃厚赤血球の急速輸血で一時状態の改善がえられ血管造影検査が施行され,左外腸骨動脈から腸管内へextravasationが認められ左外腸骨動脈腸管瘻と診断しcovered stentを留置し止血した。ステントグラフト留置後に血圧は一時上昇したが数時間後に多臓器不全に陥り永眠された。動脈腸管瘻はまれな疾患であるが,時として急激な出血性ショックで死に至らしめることを念頭に置くべき...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 3; pp. 647 - 651
Main Authors 水野, 隆之, 川越, 勝也, 鬼塚, 敏男, 中村, 都英, 河野, 文彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2013
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.33.647

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Summary:症例は53歳,男性。骨盤部後腹膜腫瘍の局所再発で腫瘍摘出が施行された。術後12日目に突然の大量下血でショック状態に陥った。急速輸液を行ったがショックを離脱できず,下顎呼吸および対光反射も微弱になったため心肺蘇生が開始された。濃厚赤血球の急速輸血で一時状態の改善がえられ血管造影検査が施行され,左外腸骨動脈から腸管内へextravasationが認められ左外腸骨動脈腸管瘻と診断しcovered stentを留置し止血した。ステントグラフト留置後に血圧は一時上昇したが数時間後に多臓器不全に陥り永眠された。動脈腸管瘻はまれな疾患であるが,時として急激な出血性ショックで死に至らしめることを念頭に置くべきである。本症例を経験し医師やコメディカルの救急医療に対する日頃からの技術と知識の習得や緊急時の院内のシステムの定期的な見直しと改善が,救急患者の救命に寄与できると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.647