急性腹症診療ガイドライン2015 初期診療アルゴリズムが目指すもの

急性腹症診療ガイドライン2015(以下,本ガイドライン)は急性腹症診療を科学的に構築することにはじめて挑戦した。その過程で,本ガイドラインは腹痛患者の中には虚血性疾患・出血性疾患・汎発性腹膜炎といったlife-threateningな疾患があることを明らかにした。本ガイドラインの示す「初期診療アルゴリズム」はlife-threateningな病態を見逃さず適切な治療を行うことを目的に作成され,その結果,2 step methodを採用した。Step 1でvital signに異常を呈する緊急疾患を鑑別し,適切な蘇生と根治的治療の方法を示している。Vital signに異常のない患者はstep...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 37; no. 4; pp. 551 - 557
Main Authors 前田, 重信, 吉田, 雅博, 真弓, 俊彦, 小豆畑, 丈夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2017
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.551

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Summary:急性腹症診療ガイドライン2015(以下,本ガイドライン)は急性腹症診療を科学的に構築することにはじめて挑戦した。その過程で,本ガイドラインは腹痛患者の中には虚血性疾患・出血性疾患・汎発性腹膜炎といったlife-threateningな疾患があることを明らかにした。本ガイドラインの示す「初期診療アルゴリズム」はlife-threateningな病態を見逃さず適切な治療を行うことを目的に作成され,その結果,2 step methodを採用した。Step 1でvital signに異常を呈する緊急疾患を鑑別し,適切な蘇生と根治的治療の方法を示している。Vital signに異常のない患者はstep 2に進み,緊急手術が必要となる病態(出血,臓器の虚血,汎発性腹膜炎,臓器の急性炎症)の有無を鑑別する。われわれはこの「初期診療アルゴリズム」がめざすものを考えてみたい。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.551