失語症言語治療に関する後方視的研究 標準失語症検査得点の改善とその要因
言語治療を受けた失語症 597 例の言語治療成績について後方視的検討を行い, 長期的な言語治療効果と言語治療成績に関連する要因について検討した。標準失語症検査 (SLTA) 総合評価尺度合計得点の前後 2 回の成績を比べると, 発症後 3 ヵ月未満から 2 年以上に至るすべての経過群で前後2 回の成績に有意な改善が認められ, 失語症に対する言語治療効果が明らかに示された。SLTA 総合評価尺度合計得点は発症後初期に比べ長期経過後では改善がより小さくなる傾向を示すだけでなく, 前検査得点が低く, 長期経過後の言語治療対象例は重度の失語症であった。平均効果サイズ d によって改善の大きさを検討する...
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          | Published in | 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 32; no. 3; pp. 497 - 513 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本高次脳機能学会
    
        30.09.2012
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| Subjects | |
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| ISSN | 1348-4818 1880-6554  | 
| DOI | 10.2496/hbfr.32.497 | 
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| Summary: | 言語治療を受けた失語症 597 例の言語治療成績について後方視的検討を行い, 長期的な言語治療効果と言語治療成績に関連する要因について検討した。標準失語症検査 (SLTA) 総合評価尺度合計得点の前後 2 回の成績を比べると, 発症後 3 ヵ月未満から 2 年以上に至るすべての経過群で前後2 回の成績に有意な改善が認められ, 失語症に対する言語治療効果が明らかに示された。SLTA 総合評価尺度合計得点は発症後初期に比べ長期経過後では改善がより小さくなる傾向を示すだけでなく, 前検査得点が低く, 長期経過後の言語治療対象例は重度の失語症であった。平均効果サイズ d によって改善の大きさを検討すると, 発症後半年以内では中程度の改善を示し, 発症後 1 年経過後 2 年以上に至るまで小程度の改善が持続した。発症後 1 年以降では性別, 年齢, びまん性病変の有無により改善の差が認められた。また, 脳出血では早期に改善がみられ, 脳梗塞では回復がゆるやかに進んだ。 | 
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| ISSN: | 1348-4818 1880-6554  | 
| DOI: | 10.2496/hbfr.32.497 |