新生児期に瘻孔閉鎖を行った coronary arteriovenous fistula(CAVF)の1例

冠動脈廔は先天性冠動脈疾患で最も頻度が高い疾患であるが,全先天性心疾患の0.4%と低い.また小児期はほとんどが無症状で経過するが成人期以降に症状が出現し手術が必要になることも多い.その中で新生児期に症状が出現し早期に手術介入が必要になることは稀である.今回,胎児診断されず出生後に冠動脈廔(左前下行枝-右室)と診断され,その後心不全増悪と冠動脈虚血の出現を懸念し,日齢12で瘻孔閉鎖を行った症例を経験した.手術は瘻孔直上の左前下行枝を切開し,冠動脈中枢側流入口と右室との瘻孔部を自己心膜パッチで2重閉鎖した.術後4年のフォロー期間で虚血性変化や冠動脈瘤拡大はなく経過は良好であるが,今後も慎重な経過観...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 51; no. 3; pp. 129 - 132
Main Authors 野村, 耕司, 村山, 史朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.05.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.51.129

Cover

More Information
Summary:冠動脈廔は先天性冠動脈疾患で最も頻度が高い疾患であるが,全先天性心疾患の0.4%と低い.また小児期はほとんどが無症状で経過するが成人期以降に症状が出現し手術が必要になることも多い.その中で新生児期に症状が出現し早期に手術介入が必要になることは稀である.今回,胎児診断されず出生後に冠動脈廔(左前下行枝-右室)と診断され,その後心不全増悪と冠動脈虚血の出現を懸念し,日齢12で瘻孔閉鎖を行った症例を経験した.手術は瘻孔直上の左前下行枝を切開し,冠動脈中枢側流入口と右室との瘻孔部を自己心膜パッチで2重閉鎖した.術後4年のフォロー期間で虚血性変化や冠動脈瘤拡大はなく経過は良好であるが,今後も慎重な経過観察が必要である.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.51.129