腸管Behçet病に仙腸関節炎および第8トリソミーを伴う骨髄異形成症候群(RAEB-t)を合併した一剖検例

症例は69歳男性.発熱,紅斑,有痛性の多発性口腔咽頭潰瘍で発症し,経過中に回盲部潰瘍を認め,腸管Behçet病が疑われた.その後,汎血球減少,骨髄芽球の増加を認め,第8トリソミー陽性の骨髄異形成症候群(MDS, RAEB-t)と診断された.一連の経過から,腸管Behçet病とMDSの合併が最も考えられたが,Sweet病や単純性潰瘍とMDSの合併,あるいはMDSの免疫不全による回盲部膿瘍などとの鑑別に苦慮した.腸管Behçet病とMDSの合併は本邦を中心に報告例が散見されるが,諸外国での報告例は極めて少ない.また,これら症例の大多数が第8染色体のトリソミーを保有していることから,第8トリソミーと...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 28; no. 1; pp. 48 - 55
Main Authors 萩山, 裕之, 小川, 純, 窪田, 哲朗, 鍔田, 利恵子, 上阪, 等, 南木, 敏宏, 宮坂, 信之, 杉原, 毅彦, 鈴木, 文仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2005
Online AccessGet full text
ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.28.48

Cover

More Information
Summary:症例は69歳男性.発熱,紅斑,有痛性の多発性口腔咽頭潰瘍で発症し,経過中に回盲部潰瘍を認め,腸管Behçet病が疑われた.その後,汎血球減少,骨髄芽球の増加を認め,第8トリソミー陽性の骨髄異形成症候群(MDS, RAEB-t)と診断された.一連の経過から,腸管Behçet病とMDSの合併が最も考えられたが,Sweet病や単純性潰瘍とMDSの合併,あるいはMDSの免疫不全による回盲部膿瘍などとの鑑別に苦慮した.腸管Behçet病とMDSの合併は本邦を中心に報告例が散見されるが,諸外国での報告例は極めて少ない.また,これら症例の大多数が第8染色体のトリソミーを保有していることから,第8トリソミーと腸管病変の関連が示唆されるが,詳細は不明である.同様の症例を集積,検討することで少なくとも一部の腸管Behçet病の病因の解明につながると期待される.さらに,本症例は,経過中高度の腰痛を認め,仙腸関節炎の合併が確認された.腸管Behçet病とMDSの合併例で仙腸関節炎合併の報告例はこれまでにはなく報告した.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.28.48