左乳頭部に限局する隆起性腫瘤を形成した化生癌(紡錘細胞癌)の1例

症例は68歳,女性.7カ月前から徐々に増大する左乳頭部腫瘤と出血を主訴に受診.左乳頭部に出血,びらんを伴う5cm大の亜有茎性腫瘤を認めた.切開生検で低分化な癌胞巣と紡錘形細胞が混在した腫瘍組織を認め,化生癌(紡錘細胞癌)が示唆された.乳房造影MRIでは左乳頭部から一部乳頭直下に進展を認めたが,その他乳房内に腫瘤は認めなかった.PET-CTで左乳頭部および左腋窩リンパ節にFDG集積を認め,左乳頭部乳癌(cT4bN1M0 cStage IIIB)と診断した.左乳房切除+センチネルリンパ節生検を施行し,術中迅速で転移陽性であったため腋窩郭清(Level II)を行った.最終診断は乳頭部に限局した化生...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 7; pp. 1261 - 1265
Main Authors 前田, 智治, 佐川, 庸, 木藤, 克己, 宮崎, 一恵, 松岡, 欣也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1261

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Summary:症例は68歳,女性.7カ月前から徐々に増大する左乳頭部腫瘤と出血を主訴に受診.左乳頭部に出血,びらんを伴う5cm大の亜有茎性腫瘤を認めた.切開生検で低分化な癌胞巣と紡錘形細胞が混在した腫瘍組織を認め,化生癌(紡錘細胞癌)が示唆された.乳房造影MRIでは左乳頭部から一部乳頭直下に進展を認めたが,その他乳房内に腫瘤は認めなかった.PET-CTで左乳頭部および左腋窩リンパ節にFDG集積を認め,左乳頭部乳癌(cT4bN1M0 cStage IIIB)と診断した.左乳房切除+センチネルリンパ節生検を施行し,術中迅速で転移陽性であったため腋窩郭清(Level II)を行った.最終診断は乳頭部に限局した化生癌(pT4bpN1aM0,pStage IIIB)で乳頭部に限局しており,上皮成分はHER2タイプ,肉腫様成分は一部ER陽性であった.術後療法として化学療法,抗HER2療法,内分泌療法を施行し,術後2年半再発なく経過している.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1261