呼吸器症状を認めなかった右中葉支内気管支異物(義歯)の一例

気管支異物は咳嗽を主とした自覚症状を呈し,しばしば摘出に難渋する.介在部位としては右下葉支が最も多く,右中葉支は稀である.症例は85歳,男性.自覚症状はなかった.前日に歯科治療中に義歯を誤嚥し,近医を受診した.胸部X線写真で右中下肺野に異物を指摘され,当科を受診した.胸部CTでは,右中葉支に気管支異物を認め,同病変の周囲にアーチファクトを伴っており,義歯の金属片と考えられた.3次元再構成画像では,右中葉支中枢側に義歯の歯根部を確認でき,侵襲性を考え,軟性気管支鏡下に摘出を行う方針とした.気管支鏡検査では,右中葉支を閉塞するように金属片を認めたが,肉芽形成は伴っておらず,鰐口鉗子を用いて歯根部を...

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Published inJournal of UOEH Vol. 42; no. 4; pp. 347 - 352
Main Authors 内村, 圭吾, 榊原, 秀樹, 川波, 敏則, 橋本, 康平, 森本, 俊規, 茂見, 紗喜, 山﨑, 啓, 原, 幸歌, 岩永, 優人, 神田, 秀樹, 真鍋, 大樹, 中村, 圭, 矢寺, 和博, 立和田, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.12.2020
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ISSN0387-821X
2187-2864
DOI10.7888/juoeh.42.347

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Summary:気管支異物は咳嗽を主とした自覚症状を呈し,しばしば摘出に難渋する.介在部位としては右下葉支が最も多く,右中葉支は稀である.症例は85歳,男性.自覚症状はなかった.前日に歯科治療中に義歯を誤嚥し,近医を受診した.胸部X線写真で右中下肺野に異物を指摘され,当科を受診した.胸部CTでは,右中葉支に気管支異物を認め,同病変の周囲にアーチファクトを伴っており,義歯の金属片と考えられた.3次元再構成画像では,右中葉支中枢側に義歯の歯根部を確認でき,侵襲性を考え,軟性気管支鏡下に摘出を行う方針とした.気管支鏡検査では,右中葉支を閉塞するように金属片を認めたが,肉芽形成は伴っておらず,鰐口鉗子を用いて歯根部を把持し,速やかに摘出を行うことができた.呼吸器症状を伴わない,右中葉支に介在した気管支異物の一例を経験した.高齢者では呼吸器症状を伴わないこともあるため,画像検査を行うことが重要である.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.42.347