上口唇に生じたカンジダ性毛瘡の1例

症例:72歳男.初診:2005年10月26日.既往歴:うつ病,解離性障害で加療中.現病歴:約4年前より口内炎が出現,近医外科でケナログ®軟膏を処方され症状は一進一退.また他院で上口唇部のひりひり感に対しリンデロンVG®軟膏やゲンタシン®軟膏を処方され漫然と外用していた.3週間前に近医皮膚科で舌カンジダ症に対しITCZ100mg/日内服を行うも軽快せず,口腔内症状を主訴に当科を紹介受診.初診時現症:舌背,下口唇粘膜に白苔を認めた.上口唇に皮疹はなかった.白苔の鏡検で仮性菌糸を認め口腔カンジダ症と診断.治療と経過:ファンギソン®シロップによる含嗽を開始.4週間後の再診時,上口唇全体に前医で処方され...

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Published in日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 p. 57
Main Authors 北見, 由季, 香川, 三郎, 杉山, 美紀子, 西尾, 亜理, 飯島, 正文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医真菌学会 2006
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ISSN0916-4804
DOI10.11534/jsmm.50.0.57.0

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Summary:症例:72歳男.初診:2005年10月26日.既往歴:うつ病,解離性障害で加療中.現病歴:約4年前より口内炎が出現,近医外科でケナログ®軟膏を処方され症状は一進一退.また他院で上口唇部のひりひり感に対しリンデロンVG®軟膏やゲンタシン®軟膏を処方され漫然と外用していた.3週間前に近医皮膚科で舌カンジダ症に対しITCZ100mg/日内服を行うも軽快せず,口腔内症状を主訴に当科を紹介受診.初診時現症:舌背,下口唇粘膜に白苔を認めた.上口唇に皮疹はなかった.白苔の鏡検で仮性菌糸を認め口腔カンジダ症と診断.治療と経過:ファンギソン®シロップによる含嗽を開始.4週間後の再診時,上口唇全体に前医で処方された軟膏が塗布され,発赤と軽度腫脹を認めた.黄色痂皮が付着し膿疱も混在.人中部のひげは粗であるが易脱毛性はなかった.組織:真皮中_から_下層におよぶ非特異性慢性炎症像を呈し,PAS,Grocott染色で角層内に菌糸を認めた.菌学的所見:膿疱と痂皮の鏡検で仮性菌糸を認めるも明らかな毛に対する寄生はなかった.痂皮と組織の真菌培養はSabouraud培地では表面平滑,白色,クリーム状の集落を得た.CHROMagar® Candida培地では2種類の集落を得,緑色の集落はスライド培養で厚膜胞子を認めCandida albicansと同定.ピンク色の集落は厚膜胞子を認めず,ID 32 Cアピを用い,C.parapsilosisと同定.口腔内の白苔からはC.albicansのみを認めた.以上よりカンジダ性毛瘡と診断しITCZのパルス療法を施行,口腔カンジダ症にはフロリード®ゲルを用い,ともに軽快.
Bibliography:P44(SII-5)
ISSN:0916-4804
DOI:10.11534/jsmm.50.0.57.0