(独)労働者健康福祉機構入院病職歴データベースの若年性胆管癌症例における有機溶剤使用と臨床的特徴

【目的】オフセット印刷作業者の職業性胆管癌は,若年発症や肝内局在等,一般の胆管癌とは異なる特徴がある.しかし,職業歴を含めた臨床像の報告は少ないため,(独)労働者健康福祉機構の入院患者病職歴データベースから,職歴が明らかな胆管癌症例を抽出し,臨床的特徴を若年性と非若年性,有機溶剤使用の有無について検討した.【結果】若年性115例,非若年性2140例の胆管癌症例を得た.若年性は非若年性に比して肝内胆管癌が有意に多く(p<0.01),生活習慣病保持率が有意に低く(p<0.01),血清ALPは有意に低値であった.また,若年性の有機溶剤推定使用例では非使用例に比してALPは高値であった.有機溶剤推定使...

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Published in肝臓 Vol. 56; no. 7; pp. 332 - 340
Main Authors 久保田, 昌詞, 萩原, 秀紀, 金子, 麗奈, 中崎, 奈都子, 田川, 徹平, 金, 民日, 桑田, 千歳, 嘉戸, 慎一, 草柳, 聡, 小川, 正純, 佐藤, 譲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2015
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.56.332

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Summary:【目的】オフセット印刷作業者の職業性胆管癌は,若年発症や肝内局在等,一般の胆管癌とは異なる特徴がある.しかし,職業歴を含めた臨床像の報告は少ないため,(独)労働者健康福祉機構の入院患者病職歴データベースから,職歴が明らかな胆管癌症例を抽出し,臨床的特徴を若年性と非若年性,有機溶剤使用の有無について検討した.【結果】若年性115例,非若年性2140例の胆管癌症例を得た.若年性は非若年性に比して肝内胆管癌が有意に多く(p<0.01),生活習慣病保持率が有意に低く(p<0.01),血清ALPは有意に低値であった.また,若年性の有機溶剤推定使用例では非使用例に比してALPは高値であった.有機溶剤推定使用の有無によって胆管癌の腫瘍占拠部位に偏りは認めなかった.【結語】労災病院病職歴データベースの胆管癌症例では,若年性は非若年性に比して肝内胆管癌が多い特徴が見られた.有機溶剤推定使用の有無では有意な臨床的特徴の差は認めなかった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.56.332