低炭水化物食の理解と実践 〜栄養指導のためのナラティブ・レビュー

低炭水化物食への注目が続く中、その効果と安全性を担保する栄養指導の実践方法は、十分に確立されていない。本ナラティブ・レビューは、低炭水化物食に関する研究結果を見る要点を整理するとともに、低炭水化物食の功罪を概論した上で栄養指導の方法論を提言する。低炭水化物食の研究で用いられる食事の炭水化物量には幅があり、比較対照には種々の食事が用いられる。また、対象者の脱落や食事の遵守度の低下は食事療法の評価を難しくする。低炭水化物食の体重減少や糖尿病管理への効果は、長期的には低脂質食等他の食事に比べて差異は見られない。低炭水化物食は高脂質、高たんぱく質、食塩過多になりやすく、動脈硬化性疾患の危険性が懸念され...

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Published in日本栄養士会雑誌 Vol. 65; no. 12; pp. 673 - 681
Main Authors 諸澤, 美里, 池本, 真二, 宮本, 佳代子, 大久保, 研之, 深津, 章子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本栄養士会 2022
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ISSN0013-6492
2185-6877
DOI10.11379/jjda.65.673

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Summary:低炭水化物食への注目が続く中、その効果と安全性を担保する栄養指導の実践方法は、十分に確立されていない。本ナラティブ・レビューは、低炭水化物食に関する研究結果を見る要点を整理するとともに、低炭水化物食の功罪を概論した上で栄養指導の方法論を提言する。低炭水化物食の研究で用いられる食事の炭水化物量には幅があり、比較対照には種々の食事が用いられる。また、対象者の脱落や食事の遵守度の低下は食事療法の評価を難しくする。低炭水化物食の体重減少や糖尿病管理への効果は、長期的には低脂質食等他の食事に比べて差異は見られない。低炭水化物食は高脂質、高たんぱく質、食塩過多になりやすく、動脈硬化性疾患の危険性が懸念される。食生活に取り入れやすい利点を生かすためには、炭水化物の摂取量を示した上で、植物性たんぱく質や多価不飽和脂肪酸を炭水化物の代替としたり、減塩したりする等の丁寧な指導が不可欠である。
ISSN:0013-6492
2185-6877
DOI:10.11379/jjda.65.673