肉用鶏にみられた羽包細胞腫の8例
羽包細胞腫に罹患した46~50日齢の肉用鶏8例を病理学的に検索した.背側腰部や大腿外側を含むさまざまな皮膚領域に長径2~16 cmの楕円形,境界明瞭で硬固な淡黄色結節または隆起性塊状物が単在または多発していた.割面上,病巣は多数の空隙よりなり,内腔に淡黄色の乾酪物質を満たしていた.組織学的に,病巣は真皮に限局する多房性構造物であり,大きさと形状が多彩な囊胞により構成されていた.各囊胞は角化亢進並びに基底細胞及び棘細胞の過形成を伴う重層扁平上皮により内張りされ,内腔に羽枝及び小羽枝を含む羽組織の残遺物及び層状に集積したケラチンを満たしていた.基底細胞から羽上皮構造物への分化を伴う多房性囊胞により...
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Published in | 日本獣医師会雑誌 Vol. 78; no. 8; pp. e100 - e104 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本獣医師会
2025
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Subjects | |
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ISSN | 0446-6454 2186-0211 |
DOI | 10.12935/jvma.78.e100 |
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Summary: | 羽包細胞腫に罹患した46~50日齢の肉用鶏8例を病理学的に検索した.背側腰部や大腿外側を含むさまざまな皮膚領域に長径2~16 cmの楕円形,境界明瞭で硬固な淡黄色結節または隆起性塊状物が単在または多発していた.割面上,病巣は多数の空隙よりなり,内腔に淡黄色の乾酪物質を満たしていた.組織学的に,病巣は真皮に限局する多房性構造物であり,大きさと形状が多彩な囊胞により構成されていた.各囊胞は角化亢進並びに基底細胞及び棘細胞の過形成を伴う重層扁平上皮により内張りされ,内腔に羽枝及び小羽枝を含む羽組織の残遺物及び層状に集積したケラチンを満たしていた.基底細胞から羽上皮構造物への分化を伴う多房性囊胞により特徴づけられる組織像から,検索例は羽包細胞腫と診断された.本例は肉用鶏における羽包細胞腫の初報告である. |
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ISSN: | 0446-6454 2186-0211 |
DOI: | 10.12935/jvma.78.e100 |