膵・膵周囲液体貯留に対するEUS下ドレナージ(含むネクロセクトミー)

Atlanta分類が改定され,従来は急性膵炎後の仮性嚢胞としての包括されていた病態が,その形成時期や形成過程から「仮性嚢胞」と「Walled-off necrosis:WON」といった別の病態に分類された.また,これに加えて従来からの慢性仮性嚢胞も存在する.このような膵炎に起因する膵および膵周囲の液体貯留に対する内視鏡的治療として,近年では超音波内視鏡(EUS)下で経消化管的に直接嚢胞を穿刺してドレナージを行う方法が普及している.特に,急性膵炎に伴い,膵周囲の液状化した壊死組織が被包化され嚢胞様病変を形成するwalled-off necrosis(WON)は,ほとんどの症例で消化管壁との癒着が...

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Published in膵臓 Vol. 30; no. 2; pp. 173 - 182
Main Authors 星, 恒輝, 忌部, 航, 入澤, 篤志, 澁川, 悟朗, 大島, 洋子, 藤澤, 真理子, 山部, 茜子, 五十嵐, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2015
Subjects
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.30.173

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Summary:Atlanta分類が改定され,従来は急性膵炎後の仮性嚢胞としての包括されていた病態が,その形成時期や形成過程から「仮性嚢胞」と「Walled-off necrosis:WON」といった別の病態に分類された.また,これに加えて従来からの慢性仮性嚢胞も存在する.このような膵炎に起因する膵および膵周囲の液体貯留に対する内視鏡的治療として,近年では超音波内視鏡(EUS)下で経消化管的に直接嚢胞を穿刺してドレナージを行う方法が普及している.特に,急性膵炎に伴い,膵周囲の液状化した壊死組織が被包化され嚢胞様病変を形成するwalled-off necrosis(WON)は,ほとんどの症例で消化管壁との癒着が見られるため本法の良い適応となる.最近では,ドレナージの効率を上げるためプラスチックステントよりも大口径のメタリックステントが使用される症例が増加している.また,ドレナージだけでは治癒困難な症例に対しては,消化管とWONの間に瘻孔を形成し,内視鏡を嚢胞腔内に挿入してのネクロセクトミーも行われている.安全かつ効果的な治療遂行のためには,各治療法の適応と手技,偶発症等を十分に理解した上で治療戦略を立てることが重要である.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.30.173