シロスタゾールとベプリジルの併用が有用であった特発性心室細動の2例

[症例1] 38歳男性.Prominent J波症候群.深夜に失神し, 救急隊が心室細動 (VF) を確認した後, 電気的除細動に成功.植込み型除細動器 (ICD) 植込みを行った.J波はプロプラノロール, ベラバミルで増高し, イソプロテレノール, ジソピラミド, 心房ペーシングで減高した, VF発作によりICDが頻回作動した, VFはシロスタゾール300mg/日で抑制されたが, 患者は洞性頻脈による強い動悸を自覚した.ベプリジル150mg/日を併用したところ心拍数が低下し動悸は消失した. [症例2] 35歳男性.Brugada症候群.深夜に失神し, 救急隊がVFを確認した後電気的除細動に成...

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Published in心電図 Vol. 27; no. Suppl4; pp. 64 - 67
Main Authors 篠原, 徹二, 吉松, 博信, 中川, 幹子, 高橋, 尚彦, 犀川, 哲典, 原, 政英, 岡田, 憲広, 鳥越, 徳子, 小野, 克重, 油布, 邦夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2007
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.27.Suppl4_64

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Summary:[症例1] 38歳男性.Prominent J波症候群.深夜に失神し, 救急隊が心室細動 (VF) を確認した後, 電気的除細動に成功.植込み型除細動器 (ICD) 植込みを行った.J波はプロプラノロール, ベラバミルで増高し, イソプロテレノール, ジソピラミド, 心房ペーシングで減高した, VF発作によりICDが頻回作動した, VFはシロスタゾール300mg/日で抑制されたが, 患者は洞性頻脈による強い動悸を自覚した.ベプリジル150mg/日を併用したところ心拍数が低下し動悸は消失した. [症例2] 35歳男性.Brugada症候群.深夜に失神し, 救急隊がVFを確認した後電気的除細動に成功.ICDを植込んだが, VFが頻回に生じるようになった.シロスタゾール200mg/日を投与したところVFは抑制されたが洞性頻脈による動悸を訴えた.ベプリジル100mg/日を併用したところ心拍数が低下し動悸は消失した.特発性心室細動患者のVF発作に対し, シロスタゾールが有用な症例は少なからず存在すると考えられる.シロスタゾールのVF抑制機序として, 内向きCa電流 (ICa) 増加と一過性外向き電流 (Ito) 抑制が推測される.シロスタゾール200~300mg/日の投与では洞性頻脈による動悸を自覚する場合が多く, その場合, 心拍数低下作用のある薬剤としてICa抑制作用を伴うもののIto抑制効果を有するベプリジルの併用が有用と考えられた.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.27.Suppl4_64