胆管挿管困難例に対する対策 Needle knifeを用いたprecut法を中心に

経乳頭的胆管深部挿管困難な症例に対し,needle knifeを用いたprecut法は挿管率の向上に有効である一方で,技術的な難易度が高く,さらに膵炎や出血,穿孔といった偶発症の可能性もあり,熟練者が行うべき処置とされ普及していない。われわれが行っているfreehandによるneedle knifeを用いたprecut法は,口側隆起の粘膜を長めに切開し,粘膜下の白色索状物である括約筋を視認したうえで胆管側の括約筋を切開し,胆管口を露出させる手技である。乳頭の基本的な構造を理解し,needle knifeによる切開の方向,長さ,深度を見極めることで高い確率で胆管口を露出でき挿管が可能となる。その...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 53 - 62
Main Authors 河本, 博文, 後藤, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2016
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.53

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Summary:経乳頭的胆管深部挿管困難な症例に対し,needle knifeを用いたprecut法は挿管率の向上に有効である一方で,技術的な難易度が高く,さらに膵炎や出血,穿孔といった偶発症の可能性もあり,熟練者が行うべき処置とされ普及していない。われわれが行っているfreehandによるneedle knifeを用いたprecut法は,口側隆起の粘膜を長めに切開し,粘膜下の白色索状物である括約筋を視認したうえで胆管側の括約筋を切開し,胆管口を露出させる手技である。乳頭の基本的な構造を理解し,needle knifeによる切開の方向,長さ,深度を見極めることで高い確率で胆管口を露出でき挿管が可能となる。そのため,胆道内視鏡治療に習熟するためには是非ともマスターすべき手技と考え,本稿ではわれわれの行っているprecut法とその有用性を概説する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.53