血漿フィブリノーゲン値と無症候性脳血管障害との関連大迫研究
【背景・目的】無症候性脳血管障害は脳卒中の高危険群であると考えられている。降圧療法の進歩とともに脳出血発症は減少してきたが、脳梗塞の有病率は依然として高率である。このような状況は、既知の主要な危険因子のコントロールだけは不十分であることを示唆しており、脳卒中に関する他の危険因子の発見・コントロールが必要と考えられる。フィブリノーゲンは血液粘度の主要な決定因子であり、フィブリノーゲン高値は脳梗塞リスクと関連している可能性がある。本研究は、一般住民において、フィブリノーゲンと無症候性脳血管障害 [ラクナ梗塞および脳室周囲高信号域 (PVH)] との関連を明らかにすることを目的とした。 【方法】岩手...
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Published in | 日本循環器病予防学会誌 Vol. 40; no. 3; pp. 181 - 189 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本循環器管理研究協議会
31.10.2005
日本循環器管理研究協議会 |
Subjects | |
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ISSN | 1346-6267 |
DOI | 10.11381/jjcdp2001.40.181 |
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Summary: | 【背景・目的】無症候性脳血管障害は脳卒中の高危険群であると考えられている。降圧療法の進歩とともに脳出血発症は減少してきたが、脳梗塞の有病率は依然として高率である。このような状況は、既知の主要な危険因子のコントロールだけは不十分であることを示唆しており、脳卒中に関する他の危険因子の発見・コントロールが必要と考えられる。フィブリノーゲンは血液粘度の主要な決定因子であり、フィブリノーゲン高値は脳梗塞リスクと関連している可能性がある。本研究は、一般住民において、フィブリノーゲンと無症候性脳血管障害 [ラクナ梗塞および脳室周囲高信号域 (PVH)] との関連を明らかにすることを目的とした。 【方法】岩手県大迫町の55歳以上の一般住民で頭部MRIを撮影した662人 (平均年齢66.6±5.3歳、男性32%) を対象に、フィブリノーゲンと無症候性脳血管障害との関連を横断的に検討した。 【結果】ラクナ梗塞の数が多い群ほど、フィブリノーゲン値は有意に高値であった (P=0.0008) 。各種危険因子で補正後も、フィブリノーゲンの1SD (63.5mg/dl) 上昇ごとのラクナ梗塞のオッズ比は1.29 (P=0.004) と有意であった。また、フィブリノーゲンと24時間自由行動下血圧はそれぞれ独立してラクナ梗塞と関連しており、両方高値の群 (フィブリノーゲン≧332mg/dlかつ24時間自由行動下血圧≧135/80mmHg) ではラクナ梗塞を有するオッズ比が2.50倍と著しく高値であった。フィブリノーゲンとPVHに関連は認められなかった。 【結論】本研究からフィブリノーゲンとラクナ梗塞との関連が示唆された。フィブリノーゲンはラクナ梗塞の危険因子あるいは予測因子として応用の可能性があると考えられる。 |
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ISSN: | 1346-6267 |
DOI: | 10.11381/jjcdp2001.40.181 |