脊椎脊髄手術における経頭蓋刺激運動誘発電位(Tc-MEP)下肢導出のための側頭方向への至適刺激部位の検討

脳脊椎脊髄手術において経頭蓋刺激運動誘発電位(Tc-MEP)は術後麻痺を予防するために有用な術中モニタリングである。一般的に上肢Tc-MEPは導出が容易であるが,下肢Tc-MEPは導出率が低下し,特に脊椎脊髄手術において下肢Tc-MEPの導出困難症例をしばしば経験する。下肢Tc-MEPの頭部刺激部位に関しては各施設様々な刺激部位を用いており,至適刺激部位の検討は,患者の術後麻痺予防に有用であると考える。今回,下肢Tc-MEPの導出率向上を目指し,側頭方向への至適刺激部位の検討を行った。対象は脊椎脊髄手術200症例で,刺激部位は頭頂(Cz)から外側3 cm,5 cm,7 cm,9 cm,11 c...

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Published in臨床神経生理学 Vol. 51; no. 6; pp. 623 - 628
Main Authors 細江, 将之, 山本, 慎司, 久我, 純弘, 池田, 紘二, 柏原, 博子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本臨床神経生理学会 01.12.2023
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ISSN1345-7101
2188-031X
DOI10.11422/jscn.51.623

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Summary:脳脊椎脊髄手術において経頭蓋刺激運動誘発電位(Tc-MEP)は術後麻痺を予防するために有用な術中モニタリングである。一般的に上肢Tc-MEPは導出が容易であるが,下肢Tc-MEPは導出率が低下し,特に脊椎脊髄手術において下肢Tc-MEPの導出困難症例をしばしば経験する。下肢Tc-MEPの頭部刺激部位に関しては各施設様々な刺激部位を用いており,至適刺激部位の検討は,患者の術後麻痺予防に有用であると考える。今回,下肢Tc-MEPの導出率向上を目指し,側頭方向への至適刺激部位の検討を行った。対象は脊椎脊髄手術200症例で,刺激部位は頭頂(Cz)から外側3 cm,5 cm,7 cm,9 cm,11 cmを計測し,各点から前方2 cmの5点で刺激を行った。結果は外側7 cm,前方2 cmの刺激点が最も導出率に優れ刺激閾値が低かった。外側9 cm,前方2 cmの刺激点も外側7 cm,前方2 cmと同程度の導出が可能であったが,外側3 cm,5 cm,11 cmの前方2 cmは有意に導出率が低下し刺激閾値も高かった。下肢Tc-MEPを導出するために側頭方向に電極を配置する場合は,電極間距離を広げた方が脳深部まで刺激が伝わりやすくなり,下肢Tc-MEPの導出率が向上すると考えられる。
ISSN:1345-7101
2188-031X
DOI:10.11422/jscn.51.623