日本総合健診医学会第38回大会―ディベート―未破裂脳動脈瘤は治療すべきか― 未破裂脳動脈瘤には保存的治療を選ぶべき

未破裂脳動脈瘤は手術せず保存的治療を選択すべきである。この立場をとった背景として(1)未破裂脳動脈瘤を三次元CTで観察,内視鏡ソフトで観察すると破裂しやすい症例,しにくい症例が見えてくる。(2)現在脳血管内手術は過渡期である。Ballooncatheter(図1)から始まり現在はGDCを中心としたmicrocoilを未破裂脳動脈瘤に充填する方法が中心である。しかしこれらの方法でも不十分で当院としてはinternal neck clipping coil(iCLIP)やinternal neck clipping stent(iSTENT)(図2)を紹介し,保存的治療と判断した症例には待期手術を...

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Published in総合健診 Vol. 37; no. 6; pp. 686 - 693
Main Authors 木内, 祐二, 石井, 正和, 小口, 勝司, 長嶺, 歩, 宇佐美, 信乃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 2010
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.37.686

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Summary:未破裂脳動脈瘤は手術せず保存的治療を選択すべきである。この立場をとった背景として(1)未破裂脳動脈瘤を三次元CTで観察,内視鏡ソフトで観察すると破裂しやすい症例,しにくい症例が見えてくる。(2)現在脳血管内手術は過渡期である。Ballooncatheter(図1)から始まり現在はGDCを中心としたmicrocoilを未破裂脳動脈瘤に充填する方法が中心である。しかしこれらの方法でも不十分で当院としてはinternal neck clipping coil(iCLIP)やinternal neck clipping stent(iSTENT)(図2)を紹介し,保存的治療と判断した症例には待期手術を指示している。そして未破裂脳動脈瘤が拡大傾向にあり危険と判断した段階で,開頭手術もしくはリスクの少ない脳血管内手術を選択すべきである。(3)続いて問題となるのが未破裂脳動脈瘤が破裂したり,増大したり,更に複数個の未破裂脳動脈瘤に発展する因子を見付けることである。見付ける方法として我々の施設では多変量解析を使用している(ソフト名:SPSS 11.0 J(SPSS, Tokyo, Japan))。この多変量解析をかけることで交絡が抜けてより真実に近いものが見えてくる。従来の解析方法は自験例が数多くなければできない訳であるが,それを“仮想”の多変量解析(という考え方:造語)をすることで症例が少ない小規模施設や診療所の患者でも破裂しやすいのか,しにくいのか,正確にとらえることができるようになった。患者自身も従来の危険性やどの因子を取り除くことでより破裂しにくいかを知ることができる。この“仮想”の統計を取る方法は統計学でもなかった方法と思われる,大変興味ある方法なので参考にされたい。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.37.686