日本語版メンタライゼーション尺度(The Japanese version of Mentalization Scale:MentS-J)の開発と信頼性,妥当性の検討

本研究の目的はThe Mentalization Scale(以下,MentS)の日本語版を作成し,尺度の信頼性,妥当性の検討をすることである。尺度の翻訳使用に関する原著者の承諾のもとMentSを日本語訳し,大学生352名を対象に調査を行った。原版の因子構造に基づく確証的因子分析の結果,一部に項目の減少はあったものの,原版と同様の3因子構造(自己に対するメンタライジング,他者に対するメンタライジング,メンタライゼーションへの関心)が明らかとなった。内的整合性および再検査信頼性においては,十分ではないものの一定の値が確認された。基準関連妥当性のための相関分析の結果,一定の妥当性が示された。また構...

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Published in発達心理学研究 Vol. 33; no. 3; pp. 137 - 145
Main Authors 岩崎, 美奈子, 松葉, 百合香, 桂川, 泰典, 原口, 幸, 大月, 友, リー, スティーブケイ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本発達心理学会 2022
Subjects
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ISSN0915-9029
2187-9346
DOI10.11201/jjdp.33.137

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Summary:本研究の目的はThe Mentalization Scale(以下,MentS)の日本語版を作成し,尺度の信頼性,妥当性の検討をすることである。尺度の翻訳使用に関する原著者の承諾のもとMentSを日本語訳し,大学生352名を対象に調査を行った。原版の因子構造に基づく確証的因子分析の結果,一部に項目の減少はあったものの,原版と同様の3因子構造(自己に対するメンタライジング,他者に対するメンタライジング,メンタライゼーションへの関心)が明らかとなった。内的整合性および再検査信頼性においては,十分ではないものの一定の値が確認された。基準関連妥当性のための相関分析の結果,一定の妥当性が示された。また構成概念妥当性の検討のために行った偏相関分析の結果,MentS-Jは境界例心性尺度,自閉症スペクトル指数と負の相関がみられた。これらの結果からMentS-Jにおける一定の信頼性および妥当性が示され,自記式質問紙によるメンタライゼーションのアセスメントへの活用可能性が示された。
ISSN:0915-9029
2187-9346
DOI:10.11201/jjdp.33.137