化学放射線同時併用療法が著効した中咽頭癌(T4aN3M0)の一例

中咽頭癌に対しては,放射線療法,動注化学(放射線)療法,化学放射線同時併用療法,手術療法など様々な報告がある.今回,われわれは中咽頭癌T4aN3M0症例に対し,S-1, Nedaplatin/放射線同時併用療法(以下SN療法)を行い良好な結果をえることができたので報告する. 症例は67歳,男性で咽頭部違和感,頸部腫瘤を主訴に当院へ紹介された.左扁桃周囲に中咽頭腔内を大きく占める腫瘍を認め,細胞診ではClass V(扁平上皮癌)であった.CTにて中咽頭癌(T4aN3M0)と診断しSN療法を行った. 一次治療後の造影CT検査では原発巣の腫瘍は消失していたが,左頸部リンパ節腫脹は残存し,超音波下穿刺...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 72; no. 1; pp. 118 - 123
Main Authors 渡邉, 彩, 嶋根, 俊和, 河村, 陽二郎, 三邉, 武幸, 徳留, 卓俊, 中村, 泰介, 秋山, 理央, 川口, 顕一朗, 下鑪, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2012
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma.72.118

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Summary:中咽頭癌に対しては,放射線療法,動注化学(放射線)療法,化学放射線同時併用療法,手術療法など様々な報告がある.今回,われわれは中咽頭癌T4aN3M0症例に対し,S-1, Nedaplatin/放射線同時併用療法(以下SN療法)を行い良好な結果をえることができたので報告する. 症例は67歳,男性で咽頭部違和感,頸部腫瘤を主訴に当院へ紹介された.左扁桃周囲に中咽頭腔内を大きく占める腫瘍を認め,細胞診ではClass V(扁平上皮癌)であった.CTにて中咽頭癌(T4aN3M0)と診断しSN療法を行った. 一次治療後の造影CT検査では原発巣の腫瘍は消失していたが,左頸部リンパ節腫脹は残存し,超音波下穿刺吸引細胞診でclass Vであったため,左頸部郭清術を行った.しかし摘出検体ではViableな癌細胞は認められず,一次治療はcomplete response(CR)と判定した. 経過観察期間はまだ浅く8ヵ月であるが,再発,転移は認めていない.SN療法は進行中咽頭癌に対して根治治療,器官・機能温存の観点から有効であると考えられた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma.72.118