児童期・青年期における研究の動向

本稿では,2011年7月から2012年6月までにわが国で発表された諸研究を中心に,特に児童期・青年期の発達に焦点を当て概観した。はじめに,児童・青年の認知発達,言語発達に関する研究を概観し,読み・書き,コミュニケーション,批判的思考,具体的操作と形式的操作に焦点を当てて,それぞれ新たな知見を論じた。次に,児童期の社会的発達に関する研究を概観し,他者との関係における行動や感情等の研究トピックを概観するとともに,用いられている方法の偏りを指摘し,既存の方法論の前提を理解するとともに,それが実際の子どもの理解にあたって持つ限界を考察する必要性を論じた。さらに,青年期の社会的発達に関する諸研究について...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in教育心理学年報 Vol. 52; pp. 12 - 23
Main Authors 高橋, 登, 白井, 利明, 小松, 孝至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0452-9650
2186-3091
DOI10.5926/arepj.52.12

Cover

More Information
Summary:本稿では,2011年7月から2012年6月までにわが国で発表された諸研究を中心に,特に児童期・青年期の発達に焦点を当て概観した。はじめに,児童・青年の認知発達,言語発達に関する研究を概観し,読み・書き,コミュニケーション,批判的思考,具体的操作と形式的操作に焦点を当てて,それぞれ新たな知見を論じた。次に,児童期の社会的発達に関する研究を概観し,他者との関係における行動や感情等の研究トピックを概観するとともに,用いられている方法の偏りを指摘し,既存の方法論の前提を理解するとともに,それが実際の子どもの理解にあたって持つ限界を考察する必要性を論じた。さらに,青年期の社会的発達に関する諸研究について,その変化動態を捉える必要性を論じるとともに,発達を社会文化的文脈,さまざまな実践および理論的背景との関係の中で論じた諸研究を概観した。最後に,「発達心理学研究」誌の特集号において,発達段階に関する理論的な再考をめぐってなされた議論を,我が国の発達研究の一つの到達点として紹介した。
ISSN:0452-9650
2186-3091
DOI:10.5926/arepj.52.12