治療生物学的および放射線治療医的視点から見た中性子捕捉療法の特性 (総説)

根治的放射線治療の原則は,患者に急性障害をぎりぎりまで耐えさせ,晩期障害を引き起こさない限界の耐用線量までの線量で局所制御を達成することである。治療可能比が,1以上の場合には放射線照射のみで正常組織の晩期障害を引き起こさずに病変部を治癒させる事ができるが,1以下の場合には病変部の治癒の前に正常組織の晩期障害が引き起こされ,放射線照射のみでは病変部の制御は不可能である。病変部に選択的に十分量の10B (Boron-10)を均一に分布させた中性子捕捉療法では,治療可能比が非常に大きく,正常組織の有害事象をほとんど引き起こさずに病変部を治癒させ得る。...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 28; no. 3; pp. 134 - 147
Main Authors 田野, 恵三, 真田, 悠生, 小野, 公二, 鈴木, 実, 増永, 慎一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 2016
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ISSN0915-5988
1884-4995
DOI10.5843/jsot.28.134

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Summary:根治的放射線治療の原則は,患者に急性障害をぎりぎりまで耐えさせ,晩期障害を引き起こさない限界の耐用線量までの線量で局所制御を達成することである。治療可能比が,1以上の場合には放射線照射のみで正常組織の晩期障害を引き起こさずに病変部を治癒させる事ができるが,1以下の場合には病変部の治癒の前に正常組織の晩期障害が引き起こされ,放射線照射のみでは病変部の制御は不可能である。病変部に選択的に十分量の10B (Boron-10)を均一に分布させた中性子捕捉療法では,治療可能比が非常に大きく,正常組織の有害事象をほとんど引き起こさずに病変部を治癒させ得る。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.28.134