高次脳機能障害者の支援で大切にしていること─急性期から回復を担う病院の作業療法士の立場から
私は病院で働く作業療法士として, 障害の承認を大切にしたいと考えている。高次脳機能障害者がはじめてリハビリテーションに出会うのは多くは病院である。その病院は多くのできないことに直面する場でもある。麻痺のために歩行困難になるのと同様, 高次脳機能障害でも, 例えば, 左半側空間無視があれば左側に注意を向けることができない。歩行障害のある患者に車椅子を提供するのと同様に, 高次脳機能障害によってできない生活障害に対応することは, 治療的介入より先行してすべき, と考える。作業療法士は, その人にとって目的と価値のある生活行為を大切にする職種である。訓練の提供を考える前に, 病院生活が高次脳機能障害...
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| Published in | 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 44; no. 3; pp. 180 - 184 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本高次脳機能学会
30.09.2024
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1348-4818 1880-6554 |
| DOI | 10.2496/hbfr.44.180 |
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| Summary: | 私は病院で働く作業療法士として, 障害の承認を大切にしたいと考えている。高次脳機能障害者がはじめてリハビリテーションに出会うのは多くは病院である。その病院は多くのできないことに直面する場でもある。麻痺のために歩行困難になるのと同様, 高次脳機能障害でも, 例えば, 左半側空間無視があれば左側に注意を向けることができない。歩行障害のある患者に車椅子を提供するのと同様に, 高次脳機能障害によってできない生活障害に対応することは, 治療的介入より先行してすべき, と考える。作業療法士は, その人にとって目的と価値のある生活行為を大切にする職種である。訓練の提供を考える前に, 病院生活が高次脳機能障害者にとって過酷な場であること, 患者には脳損傷による障害があることを認識し, 「できないことがあるのは当たり前」という態度でいることを大切にしたい。障害の承認は, 患者が将来の夢や目標に向かう基盤になると考えている。 |
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| ISSN: | 1348-4818 1880-6554 |
| DOI: | 10.2496/hbfr.44.180 |